浮上したサケ稚魚を500尾ずつ10群に分け、同型水槽に収容し、湧水系河川水のかけ流しで飼育を行った。各群には、市販配合飼料(対照群)または対照飼料に魚油、綿実油、亜麻仁油のいずれかの油脂を、1、2、3%のいずれかの濃度で添加した飼料を3%体重/日の割合で給餌した。飼育期間は80日とし、期間中の飼育水温は7~8℃の範囲だった、飼育終了時、全ての群の飼育密度は、一般的にサケ稚魚に生理的ストレスがかかる30kg/立米以上に達していた。飼育期間中、稚魚の成長向上および生残率の低下は何れの群にもみられなかった。飼育終了時に採集した稚魚の生理的ストレスのパラメーター(肝臓のHSP遺伝子の発現量)を調べた結果、亜麻仁油2~3%添加群が有意に低いHSP遺伝子発現量を示した。以上の結果から、亜麻仁油の2~3%添加飼料の給餌がサケ稚魚の高密度飼育で発生する生理的ストレスを軽減する可能性が示された。
|