10の3乗 TCID50/mL のCyHV-2及びCyHV-3ウイルス液に25℃で1日間浸漬したミジンコをCyHV-2ではキンギョに、CyHV-3ではコイに毎日2週間摂餌させ、さらに2週間死亡を観察し、キンギョではキンギョヘルペスウイルス病が、コイではコイヘルペスウイルス病が発症するかどうか調べた。ミジンコの体表に付着しているウイルスからの感染を防ぐため、各供試魚へ給与されたミジンコは体表をMEM培地で洗浄した後、エタノールで消毒し、さらにMEM培地で洗浄した後ものを与えた。その結果、いずれのウイルスと魚種の組み合わせでもウイルスに暴露したミジンコを与えた魚で病気は起こらず、生残魚からもウイルスは検出されなかった。なお、CyHV-2ウイルス浸漬区及びCyHV-2-ミジンコ浸漬液区(ミジンコを浸漬していた溶液に浸漬した試験区)の累積死亡率はそれぞれ83%及び43%であり、CyHV-3浸漬区及びCyHV-3-ミジンコ浸漬液区の累積死亡率はそれぞれ100%及び62%であったことから、CyHV-2及びCyHV-3でもVHSウイルスに浸漬したミジンコを与えたニジマス同様、キンギョやコイの消化過程で不活化され発症に至らなかったのではないかと考えられた。これまでの結果から、動物プランクトンが魚類ウイルス性疾病の感染源になる可能性は低いと考えられた。なお、昨年度までに得られたウイルス性出血性敗血症ウイルス(VHSV)に関する成果を水生生物の疾病に関する国際誌と第10回下等脊椎動物のウイルスに関する国際シンポジウム及び第18回ヨーロッパ魚病学会で口頭発表した。
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