研究課題
本研究は、光照射によるコイ科魚類の体色調節技術の開発に資することを目的とする。実験対象としてキンギョ、ゼブラフィッシュ、ニシキゴイを用い、有彩色光照射が体色と体色調節機構におよぼす影響を検証した。平成29年度の研究成果を魚種別に述べる。<キンギョ>有彩色光を3週間照射した結果、緑色光が蛍光灯光よりも体色を明化させることが明らかとなった。特定の有彩色光がキンギョにおいて形態学的体色変化を誘導することが明らかになった。<ゼブラフィッシュ>平成27年度の報告では黒色素胞刺激ホルモン(MSH)の遺伝子発現は紫色光や緑色光の光量に依存しないとしていたが、再解析の結果、紫色光照射によって、MCH遺伝子の発現が抑制されることが示唆された。各種ホルモン溶液に仔魚を浸漬することにより、交感神経系よりもむしろMCHが白背地における黒色素凝集に関わることを明らかにした。<ニシキゴイ>孵化仔魚に太陽光の代りに蛍光灯を照射すると黒色素胞の発達が遅れ、紫外線を蛍光灯光に追加照射するとその遅れが軽減されることが明らかになった。また、孵化後から太陽光、紫外線もしくは緑色光を1ヶ月照射した結果、緑色光照射群の背側の黒色素胞数は太陽光群と紫外線群より少なかった。以上の結果から、キンギョ、ゼブラフィッシュ、ニシキゴイという3種のコイ科魚類すべてにおいて有彩色光と紫外線が体色に影響することが明らかになった。また、この体色変化にはMCHが関わることがゼブラフィッシュとキンギョにおいて示唆された。しかし、ニシキゴイではMCHの機能がノゴイに比べて低下していることが昨年度の本研究成果によって明らかになっている。ニシキゴイにおける体色調節機構のさらなる解明が必要である。
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General and comparative endocrinology
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.ygcen.2017.06.012
Data in brief
巻: 14 ページ: 724-729.
10.1016/j.dib.2017.08.039
https://www.kitasato-u.ac.jp/mb/study/course/lab/bunshi/