研究課題/領域番号 |
15K07598
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石井 圭一 東北大学, 農学研究科, 准教授 (20356322)
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研究分担者 |
嶺田 拓也 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 上級研究員 (70360386)
関根 久子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業研究センター, 上級研究員 (80455302)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 有機農業 / 農業教育・普及 |
研究実績の概要 |
29年度におけるドイツ現地調査では、エーベルスヴァルデ持続可能開発大学、ニーダーザクセン州農業会議所においてそれぞれ有機農業教育、有機農業振興についてヒアリング調査を行った。また、法人形態の大規模有機農業経営(1300ha、就業者数120名)を訪問し、有機農業技術の習得と経営内の労働編成についてヒアリングを行った。とくに技術情報の普及、交換の仕組みについて多くの示唆が得られた。 エーベルスヴァルデ持続可能開発大学では公募型の研究プロジェクトを活用し生産者を含めた参加型の有機農業研究が進められている。また、官民のアドバイザーと定期的な情報交換を行われており、圃場データの共有やそれらの総合的な解釈に大いに貢献していることが理解できた。ニーダーザクセン州農業会議所では有機農業課の業務を中心にヒアリングを行い、技術情報の普及・流通体制に多くの資源が傾注されていることが明らかになった。 フランスにおける有機農業研究、技術開発普及の体制に関する分析において、農業研究の中心組織である国立農学研究所(INRA)が包括的な農業研究のもと細分化された領域の部局で構成されるが、その中に、総合化や学際化をけん引する農学(agronomie)が農業研究の中の1領域として位置づけられ、一大勢力を築き上げている点、注目した。そこでは技術研究の枠を超え、農業者の行為、すなわち、農業者が実践する技術や農法の解釈、経営環境を念頭に置いた選択と実践、を農学の射程に加えることで、より密接に社会とつながろうとする姿が伺え、有機農業研究の許容する研究思想が確立しているように思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者は平成29年度の研究期間中、入院療養を要したため、所要の現地調査を実施することができなかった。このため、研究期間延長の承認を受け、平成30年度を本研究課題の最終年度とすることとした。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者は平成29年度に計画した現地調査を実施しとりまとめを行う。具体的には、パリ農学院におけるアグロエコロジーの教育プログラムと関連するテーマのもとで行われる博士課程の研究指導の体制について、国立農学研究所ベルサイユセンターおよびモンペリエセンターにおける有機農業はじめとした低投入農法の試験研究ならびに農家圃場を活用した参加型研究の体制について、調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が29年度研究期間中、入院療養のため、計画された現地調査を行うことができず、補助事業期間延長申請を行い、承認されたため。
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