研究課題/領域番号 |
15K07601
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
小山 良太 福島大学, 経済経営学類, 教授 (60400587)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 放射能汚染 / 風評被害 / 検査体制 / 原子力災害 / 食の安全性 / 営農再開 / リスク評価 |
研究実績の概要 |
震災・原発事故から5年が経過したが、被害地域である福島県では放射能汚染対策の体系性、風評対策の実効性の面で課題が残存し、復興の妨げとなっている。出口対策中心の現行の検査態勢や汚染実態の把握なしに実施されている除染・吸収抑制対策では農地、作物ごとの放射性物質含有リスクに対応できず、風評問題の根本原因となっている。本研究では、効果的な放射能汚染対策を実施するために放射能汚染関連の研究成果を整理・統合し、営農環境・作物ごとのリスク管理体制の構築、それに基づく放射能検査態勢の体系化と認証システムを設計することを課題とした。 平成27年度は、放射性物質循環系の把握とリスク評価に関する実証研究を行った。①農地の放射性物質含有量、土壌成分、土壌特性(PH、有機物含有量、RIP等)といった農地環境、②集水域の特徴、流量、用水特性、水田環境など用水環境、③後背山林地、沢水、里山など周辺環境、④作物ごとの吸収特性(放射性セシウム移行率)における物質循環系を放射性物質の挙動に注目し、環境要因を考慮した地域・作物ごとのリスク評価に関する研究動向を整理し、震災5年目の総括を行った。 農地の放射能汚染マップ作成モデル研究及び作物への放射性物質移行に関する試験栽培に関しては、福島大学うつくしまふくしま未来支援センター(FURE)を中心に実施した。農地汚染マップの作成及び試験栽培実験を継続的に実施することにより、経年変化を記録した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
福島県県北地域における第一段階の農地中放射性物質分布マップは完成したが、作物への移行に関する評価に関しては、土壌中のセシウム濃度と作物との相関関係が見いだせず、他の要因についての実証試験をより広範囲に実施する必要があることが示された。
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今後の研究の推進方策 |
現行の出口対策に生産対策を付加した場合の費用対効果分析を行い、検査態勢高度化の費用負担問題及び福島県以外の汚染地域への適用可能性についても検討を行う。福島県農産物流通課・ふくしまの恵み安全対策協議会と協力関係を構築しており、データを蓄積している。 4段階リスク管理手法の費用対効果分析を行う。ここでは、5年間の除染・吸収抑制対策・米全袋検査、モニタリング検査・土壌測定の費用と農地情報・移行係数を組み込んだ4段階検査手法の費用比較及び流通業者の取引構造、消費者安心情報を比較し、費用対効果を測定する。また新モデルとベラーシモデルとの比較分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度にベラルーシ、ウクライナの研究者との共同研究を実施する予定であったが先方国の国内上の悪化により、研究会の開催を次年度に延期した。また汚染土壌の改正を進める予定であったがサンプル数が膨大なためにサンプル収集と初期解析を優先し、本格的な分析を次年度に繰り越すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度延期したベラルーシ放射線研究所との協議を本年度に実施する。土壌、作物の解析を実施する。
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