研究課題/領域番号 |
15K07604
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
中原 尚知 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (90399098)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 水産物流通構造 / フードシステム / 新制度派経済学 |
研究実績の概要 |
水産物の流通構造は小売主導型へ転換しているとされ,従来の中心であった卸売市場流通はその姿を変え、新たな流通システムが登場している。これまで水産物フードシステムの俯瞰的な把握や,個別構成主体の事例研究は進められているが,現在の流通システムの存立根拠を理解し,資源・市場の変動に対応するための方策を描くためには,フードシステム構成主体間の関係について分析が深められる必要がある。本研究では企業境界に着目した理論体系である新制度派経済学によって水産物の流通構造にアプローチし,構成主体間の関係解明とシステム間の比較から水産物流通システムの存立条件を解明する。 平成29年度は,水産加工メーカーの事業システムとマグロの流通構造を対象とした調査および分析を実施した。前者においては,新制度派経済学の文脈にあるケイパビリティ論を援用して事業システムの変革を通じたケイパビリティの強化の実態について明らかにし,ビジネス・エコシステムにおける垂直的連携という観点から,有効な水産加工品の流通システムのあり方について分析した。後者においては,卸売市場流通からの変化を遂げてきたマグロの流通システムの変遷や現代的特質について,マグロの生産および市場の変化をふまえて明らかにすることを通じ,構成主体間の関係の変化について分析した。 実施予定であったアンケートは,業界の状況を鑑みて再度保留し,次年度の実施,対象の変更,定性的分析の充実について選択することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度は,研究計画および昨年度までの調査・分析結果をふまえて,水産企業のケイパビリティや流通システムに関する分析を実施した。アンケート調査の保留および定性的分析の拡充は想定内ではあるものの,研究期間を延長し,アンケート調査の実施にも可能性を持たせた点をふまえて,進捗状況としては上記の判断とした。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,関係企業へのヒアリング調査に基づく定性的な検討を実施と共に,調査対象となる業界団体と調整しつつ,関連企業へのアンケート調査の実施について最終判断をおこない,可能であれば実施する。行わなかった場合には他の対象での実施あるいは定性的分析の拡充を実施する。それらに基づく理論的検討により,フードシステム構成主体間の関係に関する実証分析を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 調査対象に関する状況変化を鑑み,実施予定であったアンケート調査を保留したため。 (使用計画) 調査内容の調整等により,アンケート調査および実態調査を実施する計画である。
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