不確実性を高める資源・市場条件の狭間で、小売主導型の特徴を持つに至った水産物の流通構造に、ケイパビリティ論によりアプローチし、構成主体による経営行動や主体間関係の構築や変化を明らかにした。具体的には、流通・加工業者が各種の状況変化をとらえ、動態的に自らの経営資源を組み替えることで構成主体間の関係が変化するプロセスが見られ、新たなバリューチェーンが築かれようとしていた。水産業および周辺産業が内包するケイパビリティを見いだし、主体間の繋がりを形成することによる、バリューチェーンを通貫あるいは拡張した新たなビジネス・プロセスの構築支援の有効性が示唆され、連携メカニズムの解明が次なる検討課題となった。
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