研究課題/領域番号 |
15K07611
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
種市 豊 山口大学, 創成科学研究科, 准教授 (40640826)
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研究分担者 |
中嶋 嘉孝 大阪商業大学, 総合経営学部, 准教授 (30551957)
相原 延英 名古屋文理大学, 健康生活学部, 准教授 (30734553)
中野 謙 徳山大学, 経営学部, 准教授 (40706628)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 農業機械 / 選択要因 / アフターメンテナンス / 農協系統 / 商系ディーラー / タイ王国 / 籾米担保融資制度 / 中古市場 |
研究実績の概要 |
本年度は、①流通構造:日本国内の流通チャネルの変化を時系列で解明、②海外進出と影響:グローバル化の効果測定として、タイ王国を対象として現地農業と流通に与えた影響の解明。③軽量農業機械の普及要因とメンテナンス体制、④中古農機具か新車かの選択要因を解明した。それに加え、農業者は、農協系統から購入しているのか?農機具店から購入しているのか?チャネル選択の要因は、どのような理由であるのかについて解明した。 結論は、次のとおりである。第一に、生産者における販売チャネルの選択の要因について共通して言えることは、次の点にある。生産者の購入要因は、農業機械の価格以上に修理とメンテナンスであるという点である。一部の地域や農業経営において、農協から購入することの利便性から「つきあいで購入する」農業経営もあることは、否めない。しかし、今回の調査で、生産者は、特に農作業繁忙期における故障時に対応できる体制の構築ができているところより購入していることがわかった。また、新技術である電動剪定ばさみも同様の傾向であり、アフターメンテナンスを重視した導入を主体としていた。生産者における農業機械の購入のチャネル選択は、地域により農協や農業機械ディーラーのなかで一番農業経営に資するところから購入している点。第二に、その際の選択が新品なのか中古品なのかは、「農家と営業担当者との協働の中で決まる」という点。第三に、タイ王国において2014年に破綻し「籾米担保融資制度」廃止後の農業機械市場の動向についての以上の三点を解明した。以上の点からみて、農業機械は、農作業の軽量化を目的として製造販売されている機械である。特に、重要な点は、収穫時期の集中にある。収穫時期に速やかな対応こそが生産者の購入先決定の要因になりうるためである。以上の点は、2016年度内の調査結果より明らかにした課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)国内産地調査は、山口県での農業法人調査を実施した。この点は、「農業と経済」への掲載や農業経済学会での報告を実施した。(2)メーカーチャネル調査は、大手3社にプラスし、地域に有するメーカー系列の子会社、軽量農業機械メーカー、全農営農資材部への調査を実施し、現在、論文を執筆し、提出に至る段階である。(3)タイ王国調査も関係各機関協力のもと順調に行っている。2017年度報告+論文執筆に至る段階にある。(4)軽量農業機械(電動剪定ばさみ)の調査結果をまとめ学会報告し論文掲載(2017年度)の段階に至っている。そのほかにも、関係各機関との連携を密にし、今後長きにわたり調査可能な体制の構築を行った。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、農業機械の普及要因と販売チャネルの普遍的なモデル化を図るために、複数地域の生産者と農機メーカーや農協との関係性について解明したい。現状、北関東地区の米麦産地の調査をできる体制にある。農業の構造改革の下、規制改革会議の答申などにより農業機械市場の変化は、非常に急速に変化している。 また、平成30年度以降素早く調査に取り掛かれるよう、平成29年度中に残された課題を抽出する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
タイ王国における旅費が最安値チケットが入手できたこと。また、現地での通訳に最大限の配慮をしていただいたお陰で安価に行動できたこと。 日本国内調査では、①他の研究経費の立ち寄りなど経路を工夫することにより旅費を抑えられた。②研究代表者は、県内の法人に調査先を集中したため予想以上に経費の節減が可能になったことも考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、山口県のほかに栃木県を比較調査先として加えるのですべての経費の使用は、可能である。
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