研究課題/領域番号 |
15K07612
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森高 正博 九州大学, 農学研究院, 准教授 (20423585)
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研究分担者 |
福田 晋 九州大学, 農学研究院, 教授 (40183925)
豊 智行 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (40335998)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 不合理な信念 / 信念の更新 / 確率情報の処理 / 優良誤認 |
研究実績の概要 |
平成30年度は、消費者が野菜の安全性に対してもつ信念の合理性・不合理性について、消費者アンケートによって検証した(森高)。アンケートは、東京都区部および政令指定都市に住み、普段野菜を購入している消費者2905名から回収した。 調査では、流通している国産および輸入野菜の残留農薬基準違反の程度について、消費者のもつ信念を推計した。その後、行政による野菜の農薬残留実態についての調査結果を提示し、そうした情報に対する評価および、情報取得後に更新された信念を改めて推計した。 推計の結果、事前の信念については、消費者間で大きなばらつきが示された。行政による調査結果を基準にしてこれらを評価した場合、国産、輸入の双方とも、実態以上に安全性を信じる傾向があり、特に、国産でそれが強く現れた。 また、検査件数と違反率という確率的な情報提示に対して、たとえそれが自身の信念と乖離していると知覚しても、自身の信念を維持する傾向が強い(更新されない)ことが示された。確率的な情報の提示は、消費者の信念形成に必ずしも有効に機能していないと思われる。 また、2016年度に実施した農産物の有機栽培、特別栽培、慣行栽培間の優良誤認に関するアンケート調査の更なる解析を進めた(豊)。有機栽培と特別栽培の優良に関する認識が、各表示への信頼の度合いも左右することが示された。特に、特別栽培を優良誤認している者(していない者)は相対的に特別栽培表示の信頼も高く(低く)、市場を歪曲する可能性が示唆される。
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