研究課題/領域番号 |
15K07618
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研究機関 | 福岡女子大学 |
研究代表者 |
新開 章司 福岡女子大学, 文理学部, 准教授 (30335997)
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研究分担者 |
水元 芳 福岡女子大学, 文理学部, 准教授 (20581630)
西 和盛 宮崎大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (40444781)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 機能性農産物 / 医農連携 / 植物工場 / QOL |
研究実績の概要 |
腎臓病患者は食事制限が必要であるため,日本人の主食であるコメや生野菜さえも摂取を我慢しなければならず,生活の質(QOL)を低下させている。これまで技術開発により「低タンパク米」や「低カリウムレタス」が開発されているが,必ずしも需要者のニーズを満たしておらず,ミスマッチが生じている。本研究では,それらの機能性農産物に対する需要者(医療機関および患者)のニーズ分析を行い,ミスマッチの解消を目的とし,そのようなマーケティング戦略を提案することにより,患者のQOL向上に寄与することを企図している。 そのため本年度は,低タンパク米や低カリウムレタスの使用の実態に関する基礎的な情報の収集を行った。 また,平成26年度までに予備調査として行ったアンケート調査の結果を分析し,医療現場における低カリウムレタスなどの使用実態と,実需者である栄養士等の意識や意向を考察した。現段階においては,さまざまな消極的な態も少なからず観察され,改善の余地が有ることが確認された。 他方,潜在的な腎臓病患者は世界に6億人いるといわれ,低タンパク米や低カリウムレタスは海外市場にも輸出可能性が高まり,「医農連携」による高付加価値化によって,日本農業の国際競争力強化に貢献する可能性がある。そのため,機能性農産物の生産の有力な候補地のひとつである植物工場の経営について情報収集を行った。 さらに,海外の研究者とも交流を深め,韓国やタイにおける機能性農産物の医療現場での応用について情報の収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は本研究の初年度であり,代表者と分担者は,それぞれ担当の領域の基礎的な情報収集と,過去研究の整理を行った。 また,予備調査のデータをもとに,分析を進め,管理栄養士等の実需者が「低カリウムレタス」にどのような意識を有しているかについて考察を深めた。 さらに,韓国の研究者らとの交流を進め,国際シンポジウムを開催し,韓国およびタイにおける機能性農産物の開発と流通について,情報収集と意見交換を行った。 また,機能性野菜の生産と関連の深い植物工場での農業経営について,情報収集と研究を進めた。これまで,植物工場ではレタスなどの葉物野菜の生産に関心が払われてきたが,そもそも植物工場での生産は高コストであるため,より付加価値の高い(販売価格の高い)機能性を有する農産物の生産への関心が高まっている。 それらの研究調査活動は,次年度以降の調査やアンケートを実施するための仮説の構築に大きく寄与するものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度においては,平成27年度の準備を踏まえ,国内の供給側および需要側に対して一層の調査を進める。 とくに,今年度は供給側,需要側それぞれに対する聞き取り等の質的調査を深め,アンケート調査等定性的調査実施のための仮説の構築を目指す。 また,海外の研究者との連携も進め,諸外国での機能性農産物の生産,流通,消費の実態の把握に努める。
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