研究課題/領域番号 |
15K07619
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
尾碕 亨 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (70275486)
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研究分担者 |
樋元 淳一 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (00199019)
家串 哲生 山形大学, 農学部, 准教授 (90364249)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 計量販売 / 青果物物流 / 青果物物流イノベーション / 資本主義的空費 / 品質保全 |
研究実績の概要 |
本研究は、青果物の小売販売方法の転換(定量定価販売から計量販売へ)による物流改革と効果に関して実証的に解明することを課題としている。 本年度は、ヨーロッパ、特にデンマークの小売業で実際に使用されている計量販売機を使用し、日本で青果物の計量販売実験を実施した。計量販売で使用した青果物は、日本のスーパー等で一般に販売されている方法、すなわち細かく規格別に選別しコンシューマーパックされたものではなく、産地の協力により規格簡素化され無包装の青果物を消費者自身により好きな大きさ好きな形のものを、必要な量好きな量だけ、みずから計量し購入する方法で実験販売をおこなった。 本年度の計量販売実験により、第1に、青果物の産地物流費、特に規格選別作業、内装小装など削減の可能性があることが明らかになった。第2に、規格の簡素化は、鮮度維持につながる品目もあることが明らかになった。第3に、日本の消費者も青果物の計量販売への抵抗感はないと思われた。第4に、段ボール箱からリユース容器を使用することにより、作業性の効率化や環境への負荷が軽減されることも明らかとなった。 さらに、本年度は、海外の小売業の青果物計量販売の実態調査として中国調査もおこなった。その結果、中国の小売業の青果物販売は、中国系小売業、外資系小売業においても、全て計量販売されていることが明らかとなった。また北京市内にある日系小売業のイオンやヨーカドーにおいても、中国での青果物の販売は、日本国内での販売と異なり計量販売で販売されていることがあきらかとなった。すなわち、日本の小売業が国内の青果物の販売において計量販売をおこなうことは十分可能であると推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外調査場所の変更があったが、本年度は、計量販売に理解のある産地パートナーがみつかり、おおむね予定していた計画を遂行することができた。今後の課題としては、さらに実証的な研究を深めデータを蓄積していく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、研究課題と研究方法は本年度と引き続き同じである。 海外の小売業での青果物の販売方法として、次年度はアメリカの計量販売の実態を調査する予定である。国内では、青果物の計量販売実験による実証的研究(社会科学、自然科学)の遂行により物流改革と効果についての定量的なデータ蓄積と分析を行い科学的データとしての信頼性を高めていく予定である。但し、不測の事情で調査課題の遂行に変更が迫られる場合は対応を慎重に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外調査場所の変更などにより当初予定していた予算より支出を押さえることができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度も、海外調査予定であるが予算不足は明白である。本年度の残金は海外用の補填に使用する。さらに、可能であれば国内計量販売実験のための費用として使用する。
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