1.2016年12月から実施した全国アンケート調査によって、JAによる農業経営は705に達した。中心となるJA出資型法人の歴史的な発展過程は以下のように整理できる。 2.第1局面は水稲作を中心とした水田農業経営から農業内のあらゆる部門への進出である。これは、家族農業経営の危機の深化の程度に対応した展開であり、耕種部門においては畑作→露地野菜作→樹園地作→施設園芸作へ、畜産部門においては家族経営の比重が大きい酪農部門から始まり、肉用牛・養豚部門に到達しつつある。このプロセスは第2局面=農作業受託から農業経営への移行を随伴しており、家族農業経営の部分的補完の役割から全面的代替への移行である「地域農業の最後の担い手」の位置づけが与えられる。 3.第3局面は本来の農業経営から耕作放棄地復旧・再生、新規就農研修といった地域農業資源(土地と人)の再生・創出という新たな課題への挑戦であり、「地域農業の最後の守り手」の位置づけが与えられるが、同時に第4局面=小規模家族経営の経営代替・継承問題から大規模家族経営の経営代替・継承問題への対応という課題の深化に対応して、「地域農業の最後の攻め手」へと役割が高められている。 4.第5局面は自治体から始まり、地域に存在する多様な農業関連企業(農家)へと出資者の枠を大きく広げたJA出資型法人への移行であるが、この過程はすぐに第6局面=地域農業の担い手問題への部分的な対応から総合的な対応への深化に結びつきつつある。耕種部門内における多数の農業部門への進出から始まって畜産でも複数の部門を擁する事例、さらには耕種・畜産の複合経営に至る事例が生まれ、「地域農業発展の総合的拠点」の位置づけが与えられる段階が最新の局面だということができる。
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