研究課題/領域番号 |
15K07621
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
菊地 昌弥 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (30445689)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 食料品の開発輸入 / 企業行動 / フードシステム / 主体間の関係変化 / 中国産冷凍野菜 |
研究実績の概要 |
中国産冷凍野菜の開発輸入は、2010年前後よりその担い手である大手冷凍野菜開発輸入業者の主導権が弱体化するかたちで転換期を迎えているにもかかわらず、依然としてわが国は同国からの輸入に依存している。今後、日本が安定的に冷凍野菜を調達するには、中国で市場の動向に合わせた効果的な対策を講じながら輸入しつつ国内からも一定程度確保していく必要がある。そのためには、まずは現段階がどのような状況にあるのかを解明する必要がある。だが、日中両国の動向を同時に取り上げ、それを考察した成果は一切存在しない。そこで、本研究では主たる担い手である大手冷凍野菜開発輸入業者に焦点を当て、産業組織論の構造と行動の枠組みから中国と国内の詳細を同時に研究し、体系的かつ総合的にわが国の冷凍野菜調達状況の現段階を解明することを目的としている。 今年度は、上述のような構造変化のなかにおいて、その変化に対するわが国の大手冷凍野菜開発輸入業者の対応策の解明に着手した。具体的には、工場で働く工員の人件費の高騰に伴うコストの上昇、元高、中国食品安全法の改正という外部環境の変化に伴い、中国の冷凍野菜製造企業の経営状況が厳しくなるなか、日本の冷凍野菜開発輸入業者が生産コスト削減のために機械導入を伴った製造ラインの見直し、異物混入に伴う損失の発生に関する問題の解決のための製造工程の診断および工員の問題発生に対する意識の把握、意識改善のためのワークショップやセミナー開催等、専門知識を駆使することによって、中国の冷凍野菜製造企業が抱えるそれらの解決に協力し、Win-Winの関係を構築することで構造変化の影響を回避しながら安定的な調達に努めている実態を把握した。本年度ではこれらのこと関して、根拠となる統計資料の入手および考察、日本の大手冷凍野菜開発輸入業者へのヒアリングを通した事実の把握とその裏づけとなる企業データの入手を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
考察に必要な情報の入手は予定通りに進んでいるるものの、その取りまとめが予定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の内容に沿って情報を入手できているうえ、当初想定していた実態と大きな乖離はないため、計画通りに研究を進めていく予定である。ただし、取りまとめに予想以上に時間がかかっているので、研究協力者の協力も得ながらその作業を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
事例企業との調査のやり取りのなかで、優先して研究テーマに関する実態を実施する必要があったため、当初予定していた統計資料や備品の購入を後回しにした。また、その他として学会参加に関する旅費を計上していたが、研究分担者として今年度から参加することになった他の科研テーマや研究プロジェクトからその費用を支出することになったことに伴い、予定通りに支出することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
上記に伴って予算執行と研究の速度がやや遅れることになるが、4年目の研究計画に明記しているように、計画通りに進行できなかった場合の調整をこの時期に予め設けているうえ、繰り越した金額を2年目、3年目、4年目に割り振るかたちで執行していく予定であるため、最終的には研究目的および予算執行を達成できると見込んでいる。
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