研究課題/領域番号 |
15K07631
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
雨河 祐一郎 九州大学, 農学研究院, 助教 (00743634)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 5つの農村調査の完了 / 研究仮説に概ね沿った結果 |
研究実績の概要 |
研究の2年目である平成28年度は、研究目的(1)「Q-GAP認証の生産工程管理における生産農家のコンプライアンスに関する実態解明」に関し、一年目において実施できなかったすべての農家調査、すなわち、Q-GAP認証を受けたチェンマイ県のマンゴー農家の計49農家からの聞き取り、チャンタブリ県とナコンシータマラート県(後者は計画当初のソンクラ県から変更)においてQ-GAP認証を受けた農家と受けなかった農家の計200農家からの聞き取り、ならびにピサヌローク県において3世帯のGlobalGAP認証農家を含む計20のマンゴー農家から聞き取りを行った。これらの調査は、年度の始めの実施を予定していたが、タイの連携研究者による調査の日程調整がスムーズにいかなかったことにより、年度半ばから後半にかけて行われたため、データ分析への着手が遅れている。次に、研究目的(2)「Q-GAP認証の流通における有効性に関する考察」に関し、研究代表者(雨河)と連携研究者(森高)は、当初の予定通りタイへの短期訪問調査を行った。ただし、当初はマンゴーとドリアンに関する流通のステークホルダー(輸出業者など)への聞き取りを予定していたが、連携研究者(森高)の時間的な制約から、本年度はマンゴーに関する流通調査に限定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究目的(1)に関し、平成27年度から繰り越した4つの農村調査は、平成28年度内にすべて実施することができたが、それらは本来、平成28年度5月から7月までに実施される予定であった。実際には、チャンタブリ県とナコンシータマラート県における実施を予定した2調査は、プリンスオブソンクラ大学の連携研究者(Sara Bumrungsri)による調査助手の日程調整がスムーズにいかず、それらは7~9月に実施された。また、チェンマイ県における実施を予定した調査は、チェンマイ大学連携研究者(Wolfram Spreer)による調査助手の日程調整がスムーズにいかず、それらは12月に実施された。また、GlobalGAP認証農家を含むマンゴー生産グループに関する調査は、チェンマイ大学連携研究者(Wolfram Spreer)が、それらの生産者を管理する輸出業者から調査を断られたため、一時的に保留となった。その後、8月にマンゴー流通調査を行った際、GlobalGAP認証農家を含むマンゴー生産者グループを管理する別の輸出業者とパイプができ、その調査が可能となった。しかし、その後、ピサヌローク県におけるGlobalGAP認証農家を含む生産者グループに関する農家調査を担当したカセサート大学連携研究者(Panamas Treewannakul)による調査助手の日程調整がスムーズにいかず、それは平成29年1月に実施された。これらの調査実施の遅れのため、データ分析は遅れている。また、研究目的(2)については、前述のように、当初はタイにおけるマンゴーとドリアンに関する流通のステークホルダー(輸出業者など)への聞き取りを予定していたが、連携研究者(森高)の時間的な制約から、調査はマンゴーに関する流通調査に限定した。得られたデータへの入力はすでに終わっているが、連携研究者(森高)によるデータの分析は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の研究の第一の推進方策は、研究目的(1)に関し、まず前年度までに完了した5つの農村調査のデータ分析を完了し、論文としてまとめることである。第二の方策は、研究目的(2)に関し、ドリアンに関するタイでの流通調査を行うとともに、マンゴーに関する日本国内の輸入業者への流通調査も行う。さらに、研究目的(1)(2)の研究過程で得られた知見を、研究目的(3)「AseanGAPの分化の必要性の検討」に発展的に適用・展開し、その研究成果を執筆・投稿する。3年目の後半には、研究結果に関する研究関係者(共同研究者、参加農家、政府関係者など)とのワークショップを開催し、研究者、被調査者、政策遂行者の間で研究成果のシェアリングを行う中で、本GAP研究の社会実装を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
農村調査において、当初の予定より調査助手への謝金額を低く抑え、また、調査に必要な旅費全体も、当初の予定ほど経費を要しなかったことにより、経費が浮いた。また、当初予定していた香港へのドリアン流通調査(輸入に関する)は、ドリアンの流通経路に関するタイ現地での聞き取りから、非常に難しいことが分かったため、割愛することになり、その分の経費も浮いた。また、タイにおけるドリアンの流通調査(輸出に関する)は、調査を主に担当する連携研究者(森高)の日程が調整できなかったため、保留とした。このため、その経費が翌年へ繰り越しとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
連携研究者とともに、タイにおけるドリアンの流通調査(輸出に関する)を行う。また、本研究に関連する文献を購入する。
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