研究課題
本研究では(a)輸出向けが支配的、(b)輸出と国内販売が同等に優勢、(c)国内向け販売が支配的、というタイにおける3種類の果実バリューチェーン文脈に即して、以下3つの研究目的を追求した。(1) GlobalGAP認証取得農家とQ-GAP認証取得農家との比較、およびQ-GAP認証取得農家と非認証取得農家との比較を通じて、Q-GAP認証の生産工程管理における生産農家のコンプライアンスの実態を解明する。(2) Q-GAPが、多様な市場性との関係における流通上の有用性に関して、市場の諸アクターからいかなる評価を受けているかを明らかにする。その中で、輸出向け流通市場において、GlobalGAPとQ-GAPの間の認証水準に過剰な隔たりがあり、流通市場におけるアクターにとって、その中間に最適なGAP水準が潜在する可能性を数理経済的に検証する(その検証では、(1)の結果も援用する)。(3) (1)(2)の研究成果に基づいて、単一GAP基準における認証水準の段階的な分化ないしは複数化の必要性を提議し、アセアン地域に遍在する多様な市場性を考慮したうえで、AseanGAPの場合も、Q-GAPの場合と同様に、複数の段階的な認証水準を設ける必要があるかどうか検討する。上記の構想に基づいて、本研究では、研究目的(1)に関し、タイ北部チェンマイ県のマンゴー農家群、タイ東部チャンタブリ及び南部ナコンシータマラート県におけるドリアン農家群に関してデータ収集を行い、これまで計3本の学会またはジャーナル論文において、部分的にその成果を発表した。研究目的(2)については、バンコク在住のマンゴー輸出業者を中心にすでにデータ収集を終えているが、分析を担当している研究協力者の分析が遅れている。このため、(3) の研究目的のための分析もまだ未遂行である。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Asian Journal of Agriculture and Rural Development
巻: 7 ページ: 1-16
10.18488/journal.1005/2017.7.1/1005.1.1.16