研究課題/領域番号 |
15K07632
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
佐藤 加寿子 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (80294908)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | アメリカ酪農 / アメリカ農業法 / 小規模農場 / 有機農業 |
研究実績の概要 |
昨年度実施したウィスコンシン州、ミネソタ州、ミシガン州での現地調査の分析を引き続きおこなった。その結果、これら中西部諸州での酪農経営の規模拡大について様々なパターンが検出できた。また大規模経営において、牛成長ホルモンや抗生物質の利用が控えられるなど、これまで小規模農場・有機セクターの強みとされていた飼養方針・方法が取り入れられ始めていることが明らかとなった。 アメリカの農業政策について文献・資料から整理をおこなった。アメリカの農業政策は従来から国内農業を保護しつつ国際市場へ安価に農産物を供給することをその基本方向として展開してきた。WTO(世界貿易機関)成立以降の世界的農政転換を経て、この期本方向の変化が注目されていた。2014年農業法においても、不足払い制度が廃止されつつも、「収入保障(ARC)」と「価格損失補填(PLC)」の双方の制度において生産費水準に近い目標価格でのセーフティネットが組み込まれ、従来の性格を十分に残していることが明らかとなった。 アメリカ合衆国の小規模農場の存在意義に関する研究を日本に紹介するため、「現代アメリカの有機農業とその将来 ニューイングランドの小規模農場」翻訳チームに参加し、第2部まえがきおよび第4章を訳出した。また、全体の訳語統一などに関する議論に参加した。訳出によって、大規模経営と小規模経営とへの二極分化が進む当国において、小規模経営の具体的存在形態、直面する問題と可能性が紹介された。(訳本の刊行は2018年5月)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本課題の採択時期が通常より6ヶ月遅かったことに加え、本年度は疾病のため通算5ヶ月を休業したため、現地調査が実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、当初計画では最終的な研究とりまとめを予定していたが、現地調査を実施する。現地調査においては設営や実施において国内外の他の研究者の協力・同行を得ながら進める。協力要請はすでに着手し、進行している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本課題の採択時期が通常より6ヶ月遅かった分を2016年度までに取り返せていなかったことに加え、本年度は疾病で通算5ヶ月を休業したため、現地調査が実施できなかった。 当初計画では本年度は最終的な研究とりまとめの期間としていたが、海外現地調査の設営・実施について他の研究者の協力を得ながら本年度中の実施を基本として進める。具体的にはミシガン州およびマサチューセッツ州で国内外の研究者の協力が得られる見通しである。
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