研究最終年度は、マラウイの農業投入財補助金政策(AIISP)と小農の生計の関係についての実態調査をおこなった。その結果、AISP実施によって必ずしもミクロの世帯レベルの食糧安全保障の実現を意味するものではないことも明らかになった。調査村では,AISPの恩恵を受けながらもトウモロコシの自給に必要なトウモロコシ生産量を達成できていない世帯が多い。AISPの実施のみでマラウイの農村世帯(特に作付面積が狭小な世帯)の食糧安全保障を実現するのは困難であり,投入財を利用してもトウモロコシの自給が困難な世帯に対しては,トウモロコシ以外の農業生産を含めたより広い視野からの政策支援が今後必要である。 研究機関全体を通じて、マラウイとモザンビークを対象として、農業政策と小規模生産者の関係に関する研究を実態調査にもとづき実施した。研究は現地政府機関(マラウイ農業省とモザンビーク・コットン研究所)職員と共同でおこない、研究成果を両国の政策立案に利用する社会実装型研究を目指した。研究の成果は、学術論文(3編)と学会発表(4本)の形で公表した。また調査で得られた情報やデータは、現地政府機関の共同研究者を通じてそれぞれの国に還元された。
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