研究課題/領域番号 |
15K07636
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
牧田 りえ 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (20585450)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 野生植物 / 自然資源管理 / 持続可能な生計 / フェアワイルド認証 / 農村社会変容 / インド |
研究実績の概要 |
1.論文の執筆 前年度末までに実施した文献調査と現地調査(インド・マハラシュトラ州・ビマシャンカルの部族民コミュニティで実施されているフェアワイルド認証プロジェクトの活動とプロジェクトに関与する複数のステークホルダーについて)に基づき、論文を執筆した。農作物に適応されているフェアトレード認証の野生植物への応用としてフェアワイルド認証を考察し、その特殊性を明らかにした。同論文を国際ジャーナルに投稿した結果、審査にパスし、掲載が確定した。フェアワイルド認証を扱う学術論文としては第一号となる見込みである。 2.現地調査の実施 上記プロジェクトの実施団体である現地NGO、Applied Environmental Research Foundation (AERF) が同じ州の別の地域で実施するもう一つのプロジェクト現場において2回目の現地調査を行なった。インドのヒンドゥー村落では集落ごとに寺院を擁し、寺院を取り囲むように位置する小森が、宗教、住民の生活、そして生物多様性の観点からも重要な役割を果たしてきた。しかし、近年は寺院の改築資金の捻出や生活面の利便性のために小森の劣化・破壊が進んでいる。今回の調査では、フェアワイルド認証が、上記プロジェクトのように自然資源の採集を生計手段としてきた人々を支援する目的だけでなく、伐採の危機に直面していた自然資源(樹木)に同認証を通じて新たな経済価値をもたらすことによってその自然資源を保護するという目的にも利用可能であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ブルガリアでの調査計画には見直しが必要となったが、インドでの調査は計画していた以上に順調に進み、最終年度で仕上げる予定だったジャーナル論文を早めに完成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.研究成果に基づく研究交流 すでに執筆した論文に基づき、研究成果の発表および他の研究者らとの意見交換のために、国際学会への参加、小規模なワークショップを企画する。 2.研究を発展させる準備 今年度の海外現地調査では、フェアワイルド認証の新たな利用価値を見出すことができたが、同プロジェクトがまだ実験段階にあるため、長期的にモニタリングを継続していく体制を整える。補足調査と新たな視点からの文献調査を行なう。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外調査の実施時期を当初の予定から変更し、期間を短縮したため。 文献の購入、および補足的な現地調査に使用する予定。
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