研究課題/領域番号 |
15K07650
|
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
稲垣 仁根 宮崎大学, 農学部, 教授 (30325732)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | パイプライン / 減圧弁 / 自励振動的圧力脈動 / 振動周期 / 塩化ビニル管 / 疲労破壊 |
研究実績の概要 |
研究内容は,大きく以下の二つの研究から構成されており,各々の実績は以下に示すとおりである. ①自励振動的圧力脈動発生の検証 自動減圧弁を用いた低圧化パイプラインにおける自励的圧力脈動について、発生するメカニズムを検証している。減圧弁を管路の上下流比1:1の位置に配置した場合における自励振動的圧力脈動発生については,施設データから管路の固有振動周期を求め、実測した圧力脈動の周期と照合した.その結果,管路の固有振動周期と圧力脈動の周期が一致する場合は,減圧弁下流側で生じた小さな圧力変動が,減圧弁を介して,上流側へ増幅されて伝播し,これが減圧弁の上下流部の管路を往復することにより,圧力波が重なって増幅されることが明らかとなった.さらに,減圧弁を管路の上下流比1:3および1:2の位置に配置した場合について,管路の固有振動と圧力脈動の周期を比較し,自励振動の発生条件を検討する.その結果を総合的に評価して,管路の固有振動周期と圧力脈動の周期には関連性があり、減圧弁上下流の管路の固有振動周期に基づく自励的圧力脈動の発生可能性評価法が有効であることを明らかにする. ②塩化ビニル管の疲労破壊試験 減圧弁の下流側における塩化ビニル管の疲労破壊については、管の設計内圧以下の低圧であっても,末端のスプリンクラー等が起動停止を繰り返すことにより,増減を繰り返す圧力が長期間作用する場合は,管の内側の傷や材質の不均一などの弱部に小さなクラックが発生し,これが内部から表面に向かって進行して.最終的に表面に到達すると,管を内部から貫通する割れ目を生じることになる.この再現実験を実施中であるが,今年度前半にデータを収集して、疲労破壊のメカニズムの解明を進める.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
減圧弁を管路の上下流比1:1の位置に配置した場合における自励振動的圧力脈動発生の検証については,論文の投稿が,査読中1編,投稿待ち1編であり,論文作成は順調に進んでいる.さらに,減圧弁を管路の上下流比1:3および1:2の位置に配置した場合について,3編目の準備を進めている.また,塩化ビニル管の疲労破壊試験については,実験を継続中であり,データを収集している段階であり,管の疲労破壊までには,さらに時間を要するものと考えている.その後に,データの分析を行う計画である.
|
今後の研究の推進方策 |
自励振動的圧力脈動発生の検証 綾北地区(香川)の現地実測データに基づいて、減圧弁を管路の上下流比1:1の位置に配置した場合における減圧弁の上下流の振動周期をフーリエ変換を用いたスペクトル解析により管路の固有振動周期を同定した。今後は,菊池台地地区(熊本)の現地実測データについて、減圧弁を管路の上下流比1:3および1:2の位置に配置した場合について固有振動周期の同定を行う。 減圧弁上下流管路の固有振動周期 パイプラインシステムについて、伝達マトリクス法によって振動モデルを作成して、固有振動周期を求め、実測した振動周期の周期との関連性を明らかにする。綾北地区(香川)については、減圧弁を管路の中央に配置した場合の固有振動周期に基づく自励的圧力脈動の発生を確認している。菊池台地地区については、減圧弁を管路の上下流比1:3および1:2の位置に配置した場合を検証する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
減圧弁の下流側における塩化ビニル管の疲労破壊については,試行的な実験に必要な機材が準備できたので、実験装置を組みあげて、疲労試験を実施中である.塩ビ管が破損する状況が生じるまで,繰り返し圧力を作用させて,疲労破壊に至るプロセスを確認する段階にある.疲労破壊のプロセスを確認した段階で,塩ビ管の種類,口径,管厚などを変化させて,複数の実験を同時並行で進める計画である.その段階で,必要となる機材を準備する計画であったため,現在の実験が疲労破壊に至っておらず,やや遅れ気味であり,次年度に使用する額が発生した.
|
次年度使用額の使用計画 |
塩化ビニル管の疲労破壊について,複数の実験を同時並行で進める計画である.その段階で,管の他にエアーポンプ,プラグ,データレコーダーなどの必要となる機材を準備する計画である.
|