研究課題/領域番号 |
15K07654
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
三原 真智人 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (00256645)
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研究分担者 |
上野 貴司 特定非営利活動法人環境修復保全機構(研究センター), その他部局等, 研究員 (60713766)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 農地整備・保全 / 大腸菌抑制 / カンボジア |
研究実績の概要 |
平成27年度は、カンボジア国コンポンチャム州のSamroungコミューンを研究対象に、自然環境と農業体系に関する基礎的調査を進めた。具体的には、調査対象地において自然環境因子(気候、土壌、地形など)と農業体系因子(土地利用、営農、農業経営、家畜頭数、家畜糞排泄量など)を中心に調査した。特に、農業体系については、家畜頭数、栽培品目、営農管理、農業経営などについて現地農家へのアンケート調査や聞き取り調査を行い、詳細の把握に当たった。 コンポンチャム州Samroungコミューンは、①Bonteay Thmey、②Kondal Koang、③Preykhcheay、④Samroung、⑤Smei、⑥Sodey、⑦Svayprey、⑧Takrit、⑨Thmey、⑩Tompang Risey、⑪Vealの11村で構成されており、この11村に対し回答者の属性、経済状況、農業生産の概況、化学肥料及び有機肥料等の使用状況、持続可能な農業に向け実施している農作業等の項目からなるアンケート調査を実施した。 先ず、分析対象地域で飼養されている家畜の平均頭数と農業生産指標間にいかなる相関関係がみられるのかを確認した。耕地面積と家畜飼養頭数の関係を示したものであるSpearmanの順位相関係数から、相関が1%水準で有意な指標を確認した結果、経営耕地面積(借地)に関しては、水牛飼養等数頭数に対してプラスの相関が確認された。鶏の飼養頭数平均に対しては、豚及びアヒルの飼養頭数平均に対してプラスの相関が認められた。一方、牛の飼養頭数平均に対しては、水牛の飼養頭数平均に対して強いマイナスの相関が確認できた。これは、牛と水牛の代替関係が見られることを示唆していると判断できた。加えて豚の飼養頭数平均には、馬の飼養頭数平均がプラスの相関を示した。その他、牛飼養頭数の規定要因分析等を進めたが、ここでは詳細は割愛する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先ず、研究対象としてカンボジア国コンポンチャム州Samroungコミューンを選定し、この研究対象地において自然環境と農業体系に関する基礎的調査を進めることができた。具体的には、調査対象地において自然環境因子(気候、土壌、地形など)と農業体系因子(土地利用、営農、農業経営、家畜頭数、家畜糞排泄量など)を中心に調査を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度には、カンボジア国コンポンチャム州Samroungコミューンにおける家畜糞尿の処理に関する基礎調査を予定通りに進める予定である。具体的には、研究対象であるカンボジア国コンポンチャム州Samroungコミューンにおける家畜の飼育や糞尿処理などについて、踏査の上アンケート調査や聞き取り調査を行う。 栽培期間が終了すると多くの家畜が農地で放し飼いされていることから、家畜糞尿由来の大腸菌による汚染が強く懸念されるため、現地農家が所有する家畜の種類や頭数、飼料や放牧の有無、畜舎の位置などといった家畜の飼育状況の把握を目指す。併せて、家畜糞尿の処理を目指した発酵堆肥化に対する現地農家の関心度や衛生管理に関する意識などの把握を目指して、無記名でアンケート調査を実施する。得られた情報に基づいて、大腸菌の動向に関するリスクマネジメントを行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は、当初予定にはなかったものの本研究に関連して International Scientific Agriculture Symposium "Agrosym 2015"に参加することとした。そのために、旅費の支出が他の項目を圧迫する結果となったが、研究は予定通りに遂行できた。平成28年度は予定通りに物品費を中心に執行する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は27年度の繰越金440円を加算して、予定通りに物品費を中心に執行する予定である。
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