研究課題
本研究ではカンボジア国コンポンチャム州におけるメコン河の小流域であるプレイチョール郡に位置するサムロンコミューンおよびバライコミューンを調査対象に、牛糞堆肥の施用による土壌保全の効果を定量的に評価するとともに、営農体系別に見た大腸菌の流出状況の把握とその特性の解明、および大腸菌の生残と流出に対する抑制対策について明らかにすることであった。併せて、研究成果に基づき推奨される大腸菌の抑制対策を軸とした保全型農法の普及手法について検討してきた。特に令和1年度には、農地にCaCO4の添加によるpH調整と大腸菌の殺菌に着目して、現地で得られる様々な自然資源に着目して、その適応性について論議を進めてきた。研究室で実施した実験から、土壌のアルカリ度をpH9.0に調整することで、大腸菌を殺菌し一般細菌におけるコロニー数の低下を防ぐことが可能であることが分かってきたが、現地で適用できる資材に関してさらに検討を進めることが課題として残った。併せて、現地農家を対象に住民参加型ワークショップを開催し、現地農家の理解度や営農上の課題について調査を進めた結果、50歳代以降の世代に見られる読み書き能力の低さが普及活動に当たっての障壁になることが明らかになった。1975年から1979年の期間、ポルポト政権がカンボジアを統治し、その下で起った強制連行と教育機関の閉鎖等が一つの原因に上げられる。普及手法として、若青年層に対してはパンフレットやガイドブック等の印刷物に依存できるものの、中高齢層に対してはデモンストレーション等を実施して体験型の普及手法が重要になることが提案された。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件)
International Journal of Environmental and Rural Development
巻: Volume 10 Number 1 ページ: 40-46
巻: Volume 10 Number 1 ページ: 68-75
巻: Volume 10 Number 1 ページ: 88-94
巻: Volume 10 Number 2 ページ: 120-126