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2016 年度 実施状況報告書

島嶼域における淡水レンズ地下水の塩水化とその回復に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K07659
研究機関国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

石田 聡  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門 地域資源工学研究領域, ユニット長 (30414444)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード地下水 / 淡水レンズ / 塩水化 / 回復 / 揚水
研究実績の概要

淡水レンズ地下水が実際に水道水源として利用されている沖縄県多良間島(モデル調査地)において,水道水源揚水井の近傍の地下水観測孔に自記水位・電気伝導度(EC)計を設置し,データを回収・分析した。また,地下水揚水時の地下水観測孔内(揚水井近傍と揚水井からの50m地点)の地下水位および深度別EC分布を携帯用測定機で測定した。その結果は以下のとおりである。
揚水井近傍の地下水観測孔の地下水位は,揚水によっても殆ど低下しなかった。このことは揚水井周辺の帯水層の透水係数が大きいことを示している。揚水中の観測孔内のEC鉛直分布は,標高5.5~9mのECの遷移域(200~3,000mS/m)において,揚水井近傍の地下水観測孔のECが,同一標高の50m離れた地下水観測孔におけるECより高い傾向にあった。このことは揚水によるアップコーニングが発生していることを示している。しかしECが200mS/mを示す深度については両者に大きな相違は無く,アップコーニングによって水質が悪化しない程度に,揚水量がコントロールされていることが伺えた。
また,モデル調査地における地下水流動モデルの構築を,平成27年度に引き続き行った。構築したモデルについて,現地で測定した地下水観測孔のEC鉛直分布を再現させるように,パラメータのフィッティングを行った。本モデルは計算時間の制約から,時間毎の潮汐の変動を考慮していないため,淡水レンズ縁辺部でモデル上の淡水レンズ厚が実測より大きくなる傾向が見られたが,地下水の利用対象となる淡水レンズ中心部では両者の差が小さく,揚水によるアップコーニングとその回復を評価することが可能であると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度に予定していた研究内容が,ほぼ予定どおりに進捗したため。

今後の研究の推進方策

今後もモデル調査地における調査を継続する。具体的には,水道水源以外の揚水井において、揚水時および揚水後の地下水位・深度別EC分布を経時的に測定し,アップコーニングの発生状況と,その後の回復の状況を明らかにする。また平成28年度に実施した水道水源井戸周辺の観測も継続する。
地下水流動モデルについては,揚水によるアップコーニングの発生とその回復過程を計算し,実測値との比較を行い,パラメータのフィッテングを行う。その後,農業用水源として地下水を揚水した場合を想定した計算を行い,安定的に地下水を揚水出来る揚水量、揚水方法を求める。

次年度使用額が生じた理由

本年度見込んでいた自記EC計の故障による修理およびデータ回収費が発生しなかったため、次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

今年度発生した次年度使用額については、引き続きEC計のデータ回収費に充てるとともに、現場の状況によっては自記EC計を新規に購入する予算に充てる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 帯水層内の水質混合を抑止する単孔式二重揚水装置の作成と取水試験2017

    • 著者名/発表者名
      石田 聡,白旗克志,土原健雄,吉本周平
    • 雑誌名

      農研機構研究報告:農村工学研究部門

      巻: 1 ページ: 11~20

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] A technique of pumping simultaneously from two depths to prevent saltwater upconing2017

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Ishida, Katsushi Shirahata, Takeo Tsuchihara, Shuhei Yoshimoto
    • 学会等名
      Abstract Book of 43rd IAH Congress
    • 発表場所
      Montpellier, France
    • 年月日
      2017-09-25 – 2017-09-29
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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