研究実績の概要 |
平成28年度に人工光植物工場で実施した研究方法と解析方法を改善して, 29年度も引き続いて人工光型植物工場のエネルギー・物質収支に関する実験的ならびに理論的研究を継続した。特に、平成28年度中に明らかにした本研究の物資収支・エネルギー収支方法論を用いて、栽培面積当たりの生産量を推定する方法を開発した。 栽培室内の空気分布,および光環境のバラツキに関わる問題は,多点測定による平均化および空気撹拌による均一化などで28年度は対応したが, その処理方法に関しては,29年度にもさらなる検討を行った。そして, 正味光合成・CO2施用・かん水の各速度, それらの利用効率, および総生産コストに基づいて, 気温, CO2濃度, かん水速度, 気流速度の制御のために必要な投入資源のコストとCO2排出量に対する価値創出量の比を最大にする環境要因設定値の組み合わせを求める方法論を見出した。コストは資源投入量に単価を乗じて, 総コストは各資源のコストの和として求めた。29年度に、植物群落の表現型 (phenotype) を非破壊的に計測する課題に取り組み始めたが、その成果は未だほとんど得られていない。環境要因の最適組み合わせは, 28年度は、第一段階としては総コストに対する正味光合成速度の積算値(乾物増加量)の比を最大にするものとして求めたが, 29年度では多目的最適化問題として, 本格的に検討を開始した。
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