研究実績の概要 |
人工光型植物工場における速度変数(量の時間変化を表わす変数)の計測に基づいて、資源(電気エネルギー、光エネルギー、水、二酸化炭素、肥料、栽培空間など)の投入速度を資源投入、企業経営および資源量生産性向上の面から最適化する方法を理論的かつ実験的に検討した。上記の各種資源の投入速度は十分な精度で計測することが可能となり、その結果として、栽培室内の植物群落の正味光合成(二酸化炭素吸収)速度、暗呼吸速度、吸水速度のそれぞれをエネルギー・物質収支式にもとづいて、精度良く算定することができた。ただし、養液栽培中の各種イオンの吸収速度は本研究では対象としなかった。 他方、植物群落のフェノタイプとも呼ばれる表現型(群落構造、葉面積指数、生体重、乾物重、クロロフィル濃度、クロロフィル蛍光など)を波長感度が異なる各種カメラ(可視カメラ、熱画像カメラ、暗視カメラ、近赤外カメラ、クロロフィル蛍光カメラなど)を用いた非接触・遠隔連続計測と解析は部分的ではあるが達成できた。 本研究を通じて、従来の植物生理生態学研究の成果は人工光型植物工場の生産場面では応用しにくい面が明らかになったので、照明システム、光合成環境および正味光合成速度の相互関係に関して、人工光型植物工場に適した考え方と研究方法論の考察を進めた。本研究の環境最適化および光環境に関する提案一部は、Springer社から出版されたSmart Plant Factory (全456ページ, Editor Toyoki Kozai)のchapterとして掲載されている。
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