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2015 年度 実施状況報告書

受光角度を自律制御するエネルギー自給型の温室用半透過太陽電池ブラインドシステム

研究課題

研究課題/領域番号 15K07667
研究機関島根大学

研究代表者

谷野 章  島根大学, 生物資源科学部, 教授 (70292670)

研究期間 (年度) 2015-10-21 – 2018-03-31
キーワード太陽光発電 / 太陽電池 / 温室 / 施設栽培 / 遮光 / 再生可能エネルギー
研究実績の概要

日射強度に応じて自律的に角度を変えるアクチュエーター(直流モーターに取り付けた半透過太陽電池ブラインド)とその駆動回路の原理について研究した。制御システムは、日射を電圧信号に変換するフォトダイオード、その電圧信号を増幅するアンプ、日射強度に応じてモーターの回転方向を変えるモーター駆動回路、モーターの停止位置を決定するリミットスイッチ、太陽電池、太陽電池の発電エネルギーを充電するバッテリーおよび充放電コントローラー、そして、そのバッテリーからシステムに電力を供給するフィードバック回路から成る。日射強度が閾値(例えば、0.5 kW m-2)を超えると、直流モーター(12 W)を正転させ、モーター軸に取付けた太陽電池ブラインドの最大面積で日射を受けて発電および遮光した。この時、リミットスイッチによって停止位置を指定した。日射強度が低下し、閾値を下回ると、90度反転させて日射を最大限温室内に取り込んだ(発電電力を取り出すケーブルがあるので、一方向に回転させ続けずに反転させる)。この状態であっても、球状太陽電池粒セルで構成される太陽電池ブラインドは散乱光のみで発電を続ける。電力(W)×時間(s)=エネルギー(J)であるから、低電力であっても長時間発電することは重要である。
半透過太陽電池ブラインドのプロトタイプの試作を、太陽電池メーカーの協力を得て同時に進めた。直流モーターの回転および駆動回路の動作に要する電力量は、すべて太陽電池ブラインドの発電エネルギーで賄うことが可能であり、尚且つ発電エネルギーは余剰となることが確認できた。
これらの成果を取りまとめて平成27年度の農業気象学会で発表した。また、本研究を地域住民や行政、民間企業等に広く発信するために、文部科学省地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+事業)しまね大交流会にて研究経過を一般公開した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

日射強度に応じて自律的に角度を変える太陽電池ブラインドとその駆動回路の原理について予定通り研究した。制御システムは、日射を電圧信号に変換するフォトダイオード、その電圧信号を増幅するアンプ、日射強度に応じてモーターの回転方向を変えるモーター駆動回路、モーターの停止位置を決定するリミットスイッチ、太陽電池、太陽電池の発電エネルギーを充電するバッテリーおよび充放電コントローラー、そして、そのバッテリーからシステムに電力を供給するフィードバック回路から成る。日射強度が設定閾値を超えると、直流モーターを正転させ、モーター軸に取付けた太陽電池ブラインドの最大面積で日射を受けて発電および遮光した。この時、リミットスイッチによって停止位置を指定した。日射強度が低下し、閾値を下回ると、太陽電池ブラインドを90度反転させて日射を最大限温室内に取り込んだ。この状態であっても、球状太陽電池粒セルで構成される太陽電池ブラインドは散乱光で発電を続けた。エネルギーは電力の時間積分であるから、低電力でも長時間発電することは重要である。
太陽電池メーカーの協力を得て、半透過太陽電池ブラインドの試作を同時に進めた。直流モーターの回転および駆動回路の動作に要する電力量は、すべて太陽電池ブラインドの発電エネルギーで賄うことが可能であり、尚且つ発電エネルギーは余剰となることをシミュレーションで確認した。
これらの成果を取りまとめて平成27年度の農業気象学会で発表した。また、本研究を地域住民や行政、民間企業等に広く発信するために、文部科学省地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+事業)しまね大交流会にて研究経過を一般公開した。
以上の研究実績は、ほぼ申請書作成時点の計画通りである。

今後の研究の推進方策

1)初年度に開発したブラインド駆動回路の改良を継続する。すなわち、作目や季節に応じて、ユーザーがアンプの増幅率を調整すれば、ブラインドを回転させる日射の閾値を設定できる仕組みとする。
2)半透過型太陽電池ブラインドの改良タイプを試作する。p型半導体の内球をn型半導体で包囲してpn接合太陽電池セルを形成する。粒径は1.2 mmとする。多数の太陽電池セルを導体で連結して液化した透明樹脂またはガラス中に埋め込み、その後硬化させる。導体断面積と透明基材の減衰率も考慮に入れて遮光率30%程度とする。太陽電池ブラインド材の大きさは、温室の骨材のスパンを考慮して長さ50 cm、幅20 cm程度とする。太陽電池ブラインド1枚の出力は1 W程度にする。
3)試作した半透過太陽電池ブラインドの電流-電圧特性、電力-電圧特性および光透過率を計測する。これらのデータから、受光角度と発電効率ならびに遮光率の関係を明らかにする。
4)制御回路と半透過型太陽電池ブラインドを温室に装着して、トータルシステムのプロトタイプを構築する。太陽電池ブラインドは屋根面の直下に設置する。50 cm間隔の温室支柱パイプを利用して、温室の奥行き方向と平行に太陽電池ブラインドの長手方向を揃えて、並べて設置する。温室屋根頂上に設置したフォトダイオードの出力電圧信号で、モーターの回転角度を制御する。太陽電池ブラインド動作中のシステムの制御信号と発充放電の電力収支を連続的に計測してデータを蓄積する。
5)得られた成果を順次学会で発表するとともに、学術誌に投稿し専門家の批評を次の改善に繋げる。

次年度使用額が生じた理由

交付内定が、10月21日であったため、平成27年度は11月から研究を開始した。研究の進行に合わせて研究費を執行しているため次年度使用額が発生している。しかしながら、エフォート率を申請時の予定よりも増やして研究を急ピッチで進めたため、遅れは取り戻している。新年度は順調に研究が実施できる。

次年度使用額の使用計画

主な物品としては、特注の半透過型太陽電池ブラインド材プロトタイプおよび日射強度、太陽電池の発電量、温室内の遮光率を太陽の軌道から計算するためのワークステーションの購入を計画している。28年度前半までの研究で得られるデータを反映させた改良半透過型太陽電池ブラインド材を製作することも想定しているが、これは実験データを解析して初めて設計可能となる。実験を実施するために必要な部品・材料等の消耗品、ブラインド材の試作打ち合わせ、情報収集および研究成果発表のための旅費、研究実施補助のための大学院生への謝金、論文投稿のための英文校閲に要する費用を想定している。論文をオープンアクセスとして投稿するための費用も想定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 温室用半透過型太陽電池モジュールの開発およびブラインド式遮光資材への応用2016

    • 著者名/発表者名
      谷野章,李治,勝股泰徳,松岡徹朗,Marco Cossu,中村英稔,松本利則
    • 学会等名
      日本農業気象学会2016年全国大会
    • 発表場所
      岡山大学(岡山県・岡山市)
    • 年月日
      2016-03-15 – 2016-03-15

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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