1)前年度の研究によってシステムの消費電力のほとんどは待機電力として浪費されていることが判明したため、初年度に開発したブラインド駆動回路の夜間待機電力を削減することとした。遮光システムを夜間に作動させる必要はないため、回路を開放してシステムの電力消費を最小とする仕組みを考案して、試作実験した。その結果、駆動回路における夜間の自己消費電力量を0とすることに成功した。 2)2枚の半透過型太陽電池ブラインドをモーターの同軸上に取り付け、余剰電力を発生させることに取り組んだ。この時、ブラインド1枚の時に開発した駆動回路を改良しながら活用することによって、ブラインドの枚数が増えても電力消費量は増やさないことを目標にしたが、実際には質量の増加に伴い回転時の消費電力は増加した。とはいえ、1)の夜間電力の削減により、システム全体の消費電力量は大幅に低下した。 3)2枚の半透過型太陽電池ブラインドの電流-電圧特性、電力-電圧特性および光透過率を計測した。 4)制御回路と半透過型太陽電池ブラインドを温室に装着して、プロトタイプシステムを構築した。太陽電池ブラインドは屋根面の直下に設置した。50 cm間隔の温室支柱を利用して、温室の奥行き方向に太陽電池ブラインドの長手方向を揃えて設置した。温室屋根頂上に設置した日射センサーの出力電圧信号で、モーターの回転角度を日射に応じて制御した。太陽電池ブラインド動作中のシステムの制御信号と発充放電の電力収支を連続的に計測してデータを蓄積した。 5)得られた成果を順次国内外の学会で発表するとともに、学術誌に投稿した。このうち、国際学会GreenSys 2017における発表はThe excellent poster award third prizeを受賞した。投稿した論文は、すでにminor revisionの審査結果を受け、修正して再投稿したところである。
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