研究課題/領域番号 |
15K07684
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
国友 千帆 (川島千帆) 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (20374770)
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研究分担者 |
松井 基純 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (20374762)
清水 隆 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (90375113) [辞退]
木田 克弥 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (70419216)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 乳牛 / 妊娠 / 子牛 / 栄養代謝 / 成長 / 繁殖 / 春機発動 / インスリン抵抗性 |
研究実績の概要 |
H29年度は昨年同様、①妊娠末期の母牛に対する簡易的なインスリン感受性試験と血液性状のモニタリングによる栄養代謝状態の評価、②出生直後の子牛の栄養代謝状態と雄子牛の組織中の栄養代謝関連因子の遺伝子発現解析、雌子牛の哺乳期間の発育調査、③雌子牛の性成熟の調査を実施した。 ①では、これまでに計39頭供試し(H29分は15頭)、分娩予定3週および4週前に簡易的なインスリン感受性試験を行ったが、そのうち9頭は実際の分娩日の1週間以上のずれなどにより除外した。したがって、最終的に①の母牛と②の子牛(雄15頭、雌15頭)はそれぞれ30頭分のデータを解析することとなった。インスリン抵抗性の指標は簡易的な感受性試験での血糖値減少量や、ヒトのインスリン抵抗性指標として用いられるHOMA-IRやRQUICKIにより評価した。その結果、インスリン抵抗性の強い母牛の産子は低体重で生まれ、哺乳期間も継続すること、さらに哺乳期での体脂肪動員増や肝機能障害の疑いが認められた(第124回日本畜産学会で発表済み)。 ③に関しては、最も早く春機発動が確認される8ヶ月齢より前から超音波画像診断装置による卵巣動態の観察および血液中のプロジェステロン濃度より、初回排卵やそれに至る卵巣動態、加えて初回排卵時期に影響を与える要因について調査し、②の試験で供試した牛も含め、現在19頭の調査を終えている。今のところ、これまでの報告同様、離乳後の発育(体重)が初回排卵時期に最も強い影響を与える要因であることが示され、また、1cm以上の卵胞の出現時期は初回排卵の早さに関係がない可能性がみえてきたが、H30年度も例数を重ね、母牛のインスリン抵抗性の様々な指標も踏まえて検討する予定である。 また、H29年度の後半からH30年度に予定している妊娠末期の母牛の飼育管理の変更が栄養代謝状態に与える影響についても着手し始めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H29年度に計画していた実験は順調に実施している。 雄子牛の組織中の遺伝子発現に関しては、まだ解析していないが、サンプリングと各項目の測定は終えており、H30年度前半で「妊娠末期の母牛のインスリン抵抗性とその産子の栄養代謝状態および哺乳期間の発育との関係」についてまとめる予定である。 加えて、H30年度に予定している妊娠末期の母牛の飼育管理の変更が栄養代謝状態に与える影響について、H29年度後半から一時的な糖新生を促す補助飼料の給与を開始しており、H29年度末で予定頭数の1/4が終了している。 また、春機発動前後の卵巣動態を観察した牛の約半数が、H30年度に初回分娩を迎える予定であり、初回分娩後の卵巣動態についても予定通り調査できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
H30年度は妊娠末期の母牛への補助飼料給与により、母牛のインスリン抵抗性やその産子の栄養代謝状態に好影響があるかを検討する試験を継続する予定である。 また、春機発動前後の卵巣動態の継続観察と、その牛の初回分娩後の卵巣機能回復の評価も実施する。 そして、これまでのぞれぞれの成果について、9月および来年3月の学会で報告し、国際誌に投稿する予定である。
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