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プロラクチン(PRL)分泌に及ぼす中枢でのサルソリノール(SAL)とドーパミン(DA)の相互関係を明らかにするために次の実験を行った。すなわちチロシン水酸化酵素阻害剤 (α- Methyl-ρ-tyrosine: αMT）を用いてαMTがSALと甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)により誘起されるヤギのPRL分泌反応を調べ、SALがチロシンからL-dopaの合成経路に及ぼす影響を明らかにしようとした。本実験では日長（12時間明:12時間暗）と温度（20℃）を一定にして飼養した成熟雌ヤギに、αMT(6 mg/kg b.w.)、SAL(5 mg/kg b.w.)、TRH(1 ug/kg b.w.)をそれぞれ単独、またはαMTをSALあるいはTRHと共に頸静脈内に併用投与し、血漿中PRL濃度の変化を比較した。αMTまたはSALを投与するとPRL濃度は急激に上昇した。SAL によるPRL放出反応の頂値はαMTより高かったが、その値は時間と共に減少した。一方、αMTの反応はSALに比べ持続的で120分間頂値を維持した。αMTとSALを併用投与するとSAL投与45-75分の間で、それぞれの単独投与時よりPRL濃度は高い値を示した。TRHを投与するとPRL濃度は急激に上昇した。PRL濃度の頂値はαMT投与時の頂値と差がなかった。しかしαMTとTRHを併用投与するとPRL濃度はTRH投与15-120分の間相乗的に上昇した。この反応はαMTとSAL併用投与時より大きかった。これらの結果から、SALによるPRL分泌機構にはチロシン水酸化酵素の修飾が一部関係していること、またその分泌機構はTRHとは異なることが示唆された。本年度はこの他、メラトニンがこれらの系に及ぼす影響を調べる実験も予備的に行った。
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