研究実績の概要 |
細胞分裂異常によりゲノムが4倍体になると p53 依存的なチェックポイントがはたらき、細胞分裂の停止(p21 活性化)および細胞死(Bax 活性化)へと導く(Andreassen et al., Mol Biol Cell, 2001; Fujiwara et al., Nature, 2005)。我々は、ゲノムが半分量になっても、p53 依存的チェックポイント がはたらき、2倍体化した細胞の増殖が有利となると予想している。また栄養膜幹細胞である TS 細胞などが多核化する場合、p57、p21 の活性化により細胞質分裂が阻害されてゲノムが倍化する (Ullah et al., Gene Dev, 2008)。特に p57 については、インプリントを受けており、母方由来の DNA からのみ発現する。すなわち、未受精卵由来の半数体 ES 細胞では p57 が過剰に発現している可 能性がある。以上のことをふまえ、これらの因子を KO もしくは阻害することにより継代中の半 数体細胞の比率がどのように変化するのか調べた。
平成28年度は、p53 KO半数体 ES 細胞の樹立を行なった。p53+/-マウスを過排卵処理して未受精卵 を回収した。未受精卵は塩化ストロンチウム活性化培地で培養することで単為発生させ、桑実期胚を ES 細胞樹立培地で培養することにより、半数体 ES 細胞の樹立を行なった。現在、倍数性の確認等を行なっている。
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