研究実績の概要 |
課題研究の初年度である平成27年度は、GLPと他のホルモンとの共局在を解明およびアミノ酸添加飼料を与えた後の共局在の変化の解析を目標として研究を行った結果、次の様な成果を得るに至った。 1.ニワトリ小腸においてGLP-1は、ニューロテンシンと共存するが、両者の生合成及び分泌の時機は異なることが免疫組織化学法、免疫細胞化学法及びin situハイブリダイゼーション法により明らかとなった。この結果は、生物科学系国際誌に投稿準備中である。また、この研究から派生した実験より、GLP-1は小腸陰窩において生合成され、絨毛上皮では分泌されるのみであることが判明し、GLP分泌細胞の陰窩-絨毛軸での動態が解明された。この結果は、Domestic Animal Endocrinology誌(IF2.171, Vol.56, 2016年, pp70-74)に掲載された。 2.無タンパク質飼料にメチオニンまたはリジンを添加した実験飼料を供試鶏に給与した後に、小腸におけるGLPの前駆体であるプログルカゴンの遺伝子発現をin situハイブリダイゼーション法で解析したところ、メチオニン及びリジン添加飼料群で無タンパク質飼料群よりも発現細胞数が増加し、通常飼料群と同程度となった。この結果は、獣医系国際誌に投稿準備中である。またこの研究から派生した実験より、全卵粉を飼料に添加し給与すると小腸の吸収上皮細胞及び杯細胞の増殖に影響することが明らかとなった。この結果は、北信越畜産学会報(Vol.112, 2016年, pp37-42)に掲載された。 3.GLP-1とソマトスタチンまたは膵ポリペプチドとの共存について、免疫組織化学法及び免疫細胞化学法を用いて、解析中であるが、ソマトスタチンはGLPと共存しないことが現在までに判明している。また、アミノ酸添加飼料を給与した供試鶏において同研究を行い、こちらも現在解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究目標として、GLPと他のホルモンとの共局在を解明およびアミノ酸添加飼料を与えた後の共局在の変化の解析を挙げていた。 前者については、GLP-1とニューロテンシンの共存に関する解析が終了し、現在、国際誌(Cell and Tissue Research、IF3.565)への投稿を準備している。また、この研究から派生した実験から得られた結果は、関連学会(第158回日本獣医学会学術集会、平成27年9月、北里大学; 2015年度日本家禽学会秋季大会、平成27年9月、酪農学園大学; 2016年度日本家禽学会春季大会、平成28年3月、日本獣医生命科学大学)において発表されたと共にDomestic Animal Endocrinology誌(IF2.171, Vol.56, 2016年, pp70-74)に掲載された。 後者についても、無タンパク質飼料にメチオニンまたはリジンを添加した実験飼料を供試鶏に給与した後の小腸におけるGLP前駆体であるプログルカゴンの遺伝子発現について解析が終了しており、現在、その結果を国際誌へ投稿準備中である。アミノ酸添加飼料を給餌した後のホルモンの共局在については、現在解析中であり、平成28年度中には結果をまとめ国際誌へ投稿する予定である。 以上の状況から、計画された研究は概ね順調に進んでいると判断した。
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