研究課題/領域番号 |
15K07705
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大石 風人 京都大学, 農学研究科, 助教 (50452280)
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研究分担者 |
姫野 友紀子 立命館大学, 生命科学部, 助教 (10534365)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 心拍変動 / 家畜 / 動物管理・福祉 / 放牧 |
研究実績の概要 |
本研究は、自由行動下の家畜の継続的な心電データの簡易な取得法および自律神経活動評価法を確立し、様々な家畜生産現場において本手法が利用可能であるかを検証することを目的としている。 2年度である当該年度は、前年度同様、自由行動下の家畜のストレス評価法として心拍変動解析が利用できるかを検討するため、市販のヒト用心拍計測装置およびカスタマイズした電極装着法により、様々な飼養条件下のウシや山羊、めん羊、さらには分娩前後の繁殖雌牛に対し、心拍間隔(R-R間隔)計測を実施した。得られたデータに対して心拍変動解析を行い、5分間隔での心拍変動評価値を算出し、それらを自律神経活動評価に用いた。さらに、活動自体が心拍変動に及ぼす影響を考慮するため、前年度と同様、3軸体加速度(VeDBA)を心拍変動評価値の補正に用いる方法を検討した。結果として、これまで自由行動下では活動の影響が強く困難であった心拍変動評価を、簡易な補正法で実現する手法を確立することができ、さらにこの方法は動物種を問わず利用可能であることが示唆された。また、この方法を用いて、山羊やめん羊に対して、自由行動下での暑熱ストレスの影響を心拍変動評価値で定量化することができた。一方、繁殖雌牛の試験においては、分娩前後での心拍変動評価値の顕著な変化は確認されず、さらなるデータの取得が必要であることが明らかとなった。 これらの実施内容について、国際学会誌原著論文1報および国際学会1件において報告を行い、現在国際学会誌への投稿を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度では家畜(ウシ・山羊・めん羊)に対して心電データであるR-R間隔計測装置や行動センサーなどを装着し、舎飼いおよび放牧条件下でデータを取得し、それらを解析することを計画していたが、それらを実際に実施することができ、さらに2年度に計画していた「データ取得法の改良」に対しても一部実施し、一定の成果を得ることができた。しかしながら今年度では、3~4年次に予定していた現場でのデータ取得、特に繁殖牛の分娩前後のデータ取得において、多くの成果が得られなかったため、結果として、進捗状況は当初の計画とほぼ同様の進捗状況であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の試験結果より、多数の心電データを簡易に取得するには、当初考えられていた計測装置よりも高感度で高価な装置が必要となることが判明したため、今年度は十分なデータの取得ができなかった。そのため、今後はさらなる簡易なデータ取得法を検討する必要があり、試験場等と連携し、その開発に取り組む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度からの繰越に加え、当初予定していた国際学会開催国が政情不安となり別の国際学会に参加したため、主に渡航費において予算を下回った。
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次年度使用額の使用計画 |
遠隔地での試験を複数回実施するための旅費および試験消耗品費での利用を予定している。
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