反芻動物由来食品に特長的に含有される分岐鎖脂肪酸,フィタン酸の生成・蓄積機構を解明し,牛乳や牛肉の高付加価値化に資する知見を得る目的で研究を行った。国内で飼育される乳牛から採取したルーメン微生物は,クロロフィルあるいはフィトールから極わずかな量のフィタン酸しか合成しなかった。このことを一部反映して,外国産の乳製品・肉と比較して,国産の牛乳・牛肉のフィタン酸含量は低値であり,フィタン酸の代謝物であるプリスタン酸が主要な分岐鎖脂肪酸であった。また,フィタン酸およびプリスタン酸はT細胞からのインターフェロンγ産生を抑制し,自己免疫疾患の改善に役立つ可能性が示唆された。
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