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2015 年度 実施状況報告書

硫酸化ムチン付着性乳酸菌による腸内細菌叢改善と慢性炎症抑制効果

研究課題

研究課題/領域番号 15K07709
研究機関北里大学

研究代表者

向井 孝夫  北里大学, 獣医学部, 教授 (20229917)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードビフィズス菌 / 乳酸菌 / 肥満 / 炎症 / 腸内細菌
研究実績の概要

本研究では,腸内細菌叢の恒常性を維持することが,肥満や生活習慣病やそれらが引き金となる慢性炎症や老化の予防に繋がるであろうとの仮説を立て,申請者がすでに見出してきた硫酸化ムチン結合性ビフィズス菌を活用して腸内細菌叢の恒常性を維持することで,上述した種々の疾病を予防できるものと考え立案した。
平成27年度は,Caniらの方法(Diabetes, 2007)に従い食餌性肥満モデルマウスを作製し,ビフィズス菌や乳酸菌の腸管バリア機能改善効果や内臓脂肪蓄積に伴う脂肪組織の炎症に及ぼす影響を精密に評価することとした。供試菌株として,腸粘膜を覆うムチンに対して付着性を有することが明らかにされてきた硫酸化ムチン付着性Bifidobacterium bifidum BB株(ビフィズス菌)および硫酸化ムチンへの付着性は示さないが,腸内環境改善効果が期待される多糖を生産するLactobacillus paraplantarum IWF株(乳酸菌)を用いた。実験を遂行した結果,前述したビフィズス菌および乳酸菌を16週間投与することで高脂肪食給餌マウスと比較して,1)有意な体重増加の抑制は見られない 2)IWF株投与により内臓脂肪の蓄積抑制と脂肪細胞の肥大化の抑制傾向が認められた 3)各菌株を投与することで内臓脂肪における炎症性サイトカインTNF-αの有意な抑制およびマクロファージのケモカインの一つであるMCP-1の抑制傾向が認められた 4)各菌株の投与により,血漿中LPSの増加の抑制傾向が示されるという結果を得た。次いで,高脂肪給餌マウスを用いて腸内細菌叢の網羅的解析を行った結果,BBおよびIWF投与により腸管バリア機能改善への関与が示唆されている腸内細菌が増加した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究では,Bifidobacterium bifidum BB株ではリポ多糖(LPS)の血中への移行抑制により,また,Lactobacillus paraplantarum IWFではLPSの移行抑制および脂肪細胞の肥大抑制に伴う脂肪組織における炎症抑制効果を有することが強く示唆するものであった。また,その効果に,投与した両菌株が腸管バリア機能低下に関与している腸内細菌の増加あるいは低下を抑制することが寄与していることを強く示唆するものであった。これらの結果は,ビフィズス菌や乳酸菌の中には,肥満に伴う腸管バリア機能低下の抑制を介して慢性炎症を抑制できる機能を有する菌株が存在することを示唆するものであり,当初の目的をお十分に達成するものであった。

今後の研究の推進方策

本研究では,ビフィズス菌や乳酸菌の中には,肥満に伴う腸管バリア機能低下の抑制を介して慢性炎症を抑制できる機能を有する菌株が存在することを示唆するものであった。これらの結果を受け,平成28年度以降,腸管バリア機能低下モデルマウスを作製し,供試菌株のバリア機能改善メカニズムを明らかにするとともに,腸管バリア機能低下マウスのの長期飼育による慢性炎症の発症と供試菌株による抑制効果を評価することとする。

次年度使用額が生じた理由

本研究目的の一つである次世代シークエンサーによる腸内細菌叢の解析が,当初より大幅に遅れてしまい,再確認する実験を行うことができなかった。

次年度使用額の使用計画

平成27年度の研究目的である腸内細菌叢の解析を行った結果,当初予想していなかった菌叢の変化が示唆された。この結果を再評価するため,リアルタイムPCRを行うための消耗品費用として使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ビフィズス菌および乳酸菌が高脂肪摂取マウスの腸管バリア機能に及ぼす影響2016

    • 著者名/発表者名
      本村祐樹,井上千佳,山本裕司,向井孝夫
    • 学会等名
      日本畜産学会第121回大会
    • 発表場所
      日本獣医生命科学大学(東京都武蔵野市)
    • 年月日
      2016-03-29

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公開日: 2017-01-06  

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