研究課題/領域番号 |
15K07715
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大場 靖子 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 講師 (60507169)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アルボウイルス / 蚊媒介性ウイルス |
研究実績の概要 |
本研究では、人獣共通感染症である蚊媒介性ウイルス感染症の迅速な診断法の確立、及び媒介蚊からウイルスを効率的に検出する方法を確立することを目的としている。 昨年度に確立したフラビウイルス属、アルファウイルス属、フレボウイルス属それぞれに属する蚊媒介性ウイルス検出のためのone-step RT-PCR法を用いて、ザンビア共和国で採集した野外蚊のウイルススクリーニングを実施した。その結果、フラビウイルスおよびフレボウイルス属を検出するRT-PCR法により多岐にわたる既知および未知のウイルス遺伝子を検出した。フレボウイルス属に対するPT-PCR法では、ブニヤウイルス科に属する広範囲の新規ウイルスを検出可能であった。これまでにザンビアで検出されたウイルスは蚊特異的なウイルスと考えられ、動物やヒトに重篤な感染症を引き起こす既知のウイルスは検出されていない。 蚊媒介性ウイルスを検出するmultiplex real-time RT-PCR法の確立するため、各ウイルスの検出系を検討した。ZIKA virusの検出系では、現在多くの検査機関で使用されている検出系を用いて、ZIKVのアジア系統(アジア、西太平洋地域、アメリカ大陸で流行)およびアフリカ系統のウイルス株由来のRNAの増幅効率を検討したところ、アフリカ系統の増幅効率が顕著に低いことが判明したことから、各株の配列に共通な部位に新たにプライマーとプローブを設計しreal-time PCRを実施した。その結果、アジア系統(FSS)およびアフリカ系統の2株(MR-766,DaKAR)を同等の検出感度で検出可能な系を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多種のウイルスを検出するRT-PCR系の構築により実際の蚊検体から多くのウイルスを検出した。平成28年度の研究実施計画に記載したMAGPIXシステムによる核酸アッセイ系の構築に関して、計画内容と同様の検出システムがLuminexより市販化されたことから、当初の計画を変更し、multiplex RT-PCRの簡易検出系の開発を新たに試みる。
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今後の研究の推進方策 |
multiplex real-time RT-PCR法の確立のため、設計した各ウイルス(Zika virus, Dengue virus, Yellow fever virus, Chikungunya virus, Rift valley fever virus)の検出系を用いたmultiplex real-time RT-PCRの条件を検討する。 当初計画していたMAGPIXシステムによる核酸アッセイ系の構築に関して、計画内容と同様の検出システムがLuminexより市販化されたことから、高価なreal-time PCR装置を必要としないmultiplex RT-PCRの簡易検出系の開発を新たに試みる。 これまでにRT-PCR法にて野外蚊から検出した新規ウイルスに関して、分離を試みると同時に、蚊から抽出したRNAをNGSで解析し、ウイルスゲノム全長を同定する。その際に、RNA-seqにより蚊のtotal RNAから効率的にRNAウイルスゲノムを網羅的に検出する方法の開発を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
軽微な計画の変更により平成28年度に使用予定だった試薬品が変更となり物品費の未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は4,5月に解析予定の物品費として使用する。
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