研究課題
腎臓病ネコの腎臓固定病理切片による研究について、各切片における病変の詳細な観察と、切片から抽出したネコモルビリウイルス(FeMV)抗-N蛋白抗体、抗-P蛋白抗体を用いた免疫染色によるウイルス抗原の存在の関係を研究した結果をもとに科学論文を作成し、国際雑誌に投稿を行ったところ、受理されなかったため、現在、論文の修正と再投稿のための実験を行っている。特に、蛍光抗体法によっても免疫染色を行う事と、抗原検出に加えて定量PCRによって、FeMV遺伝子の検出を行い、FeMV感染についてのより客観的かつ信頼性の高い結果に基づく、より正確な病変との相関の確認を行っている。また、抗ネコIgG抗体を用いてFeMV感染腎臓組織の染色を行い、FeMV感染組織中に免疫複合体の形成による病変の有無と、FeMVとの共局在の有無について現在検証中である。また、FeMV抗原を免疫染色した腎臓組織において、マイクロダイセクションにより感染細胞から抽出したmRNAを用いて定量PCRを行い、液性免疫因子の遺伝子発現の差を求めたが、抽出mRNA量が微量のため、定量値の誤差が大きく、確実な結果を得るのが困難であった。そのため、現在、分離ウイルスの培養細胞への接種によって、腎臓組織切片mRNAにおける結果の検証の実験を計画している。また、組み換えFeMV N蛋白質をバキュロウイルスによって発現しELISAに用いることで、以前行った、抗-FeMV P蛋白質によって抗体検出を行った結果と比較を行うと共に、イヌジステンパーウイルスN 蛋白質の大腸菌発現をおこない、交差反応の有無について確認を進めている。また、FeMV N蛋白質の部分的発現を行う事で、ネコ血漿中の抗N蛋白質抗体の認識抗原エピトープの大まかなマッピングを行い、今後、組み換え蛋白質を用いた抗体検出系作製をより容易に行えるようにする。
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動物臨床医学
巻: 26 ページ: 163-166
Arch Virol
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10.1007/s00705-017-3386-1