研究課題/領域番号 |
15K07724
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
平井 卓哉 宮崎大学, 農学部, 准教授 (60321668)
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研究分担者 |
高須 正規 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (00503327)
小林 郁雄 宮崎大学, 農学部, 准教授 (20576293)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | 日本在来馬 / イノシシ / サル / ブタ / 蚊 / アルボウイルス / 日本脳炎 / 疫学調査 |
研究実績の概要 |
地球温暖化に伴いアルボウイルス感染症が増加し、アジアに近い九州・沖縄における本症の監視体制は極めて重要である。本症の代表的疾患は日本脳炎で、ブタとイノシシが増幅動物になりヒトやウマに感染する。宮崎県都井岬には、野生の御崎馬、イノシシおよびサルが多数生息し、ワクチン未接種であるため、貴重な「オトリ動物」と見なせる。また、日本在来馬8種のうち、5種は九州・沖縄に生息・飼養されている。本研究では、在来馬、イノシシ、サル、ブタならびに蚊用いて、アジア由来の日本脳炎ウイルスの動向とその病態、また、他の国外由来アルボウイルスの動向を追跡する。 今年度は御崎馬73頭(血清)、ブタ63頭(血清)、イノシシ24頭(血清)、サル3頭(血清)、蚊2プールの合計166検体について日本脳炎の遺伝子検査を行った。その結果、御崎馬8頭、ブタ1頭、イノシシ5頭、サル1頭、合計15検体がPCR陽性になった。今後シークエンス解析を実施し、ウイルス株を調べる予定である。御崎馬の血清を用いて日本脳炎のHI抗体価を測定したところ、70頭中44頭(約63%)が抗体陽性で、検出抗体はすべて感染抗体と考えられた。陰性馬は26頭(約37%)で、多くが若齢馬であった。今後、これらの陰性馬が感染すれば、発症する可能性がある。御崎馬の死亡馬4頭(1歳、15歳、16歳、18歳)について病理検査を実施した。高齢馬2頭(16歳、18歳)には寄生虫性病変が消化管および前腸間膜動脈に認められ、これらが死因と考えられた。高齢馬1例(15歳)には横隔膜破裂が認められ、これは急崖からの落下が推測された。その他、高齢馬の1例(16歳)に関節病変がみられた。これは御崎馬が急峻な丘を移動するため、環境的要因も影響していると考えられた。若齢馬の1頭(1歳)には直腸破裂および続発性腹膜炎が観察された。日本脳炎ウイルスの遺伝子検査では18歳の高齢馬1例が陽性であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
サンプル数が予想以上に多かったため。
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今後の研究の推進方策 |
他の在来馬についても日本脳炎の遺伝子検査および抗体検査を実施する。また、日本脳炎ウイルスのシークエンス解析を実施し、九州・沖縄地方に存在するウイルス株を特定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
追加交付のため、予算使用期間が当初計画より短かった。
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次年度使用額の使用計画 |
サンプル数が多いため、研究補助費を少し増額する予定。
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