食中毒菌のリステリアを酸と過酸化水素に曝露して生残性を解析した。本研究では20℃(室温を想定)と37℃(生体温度を想定)で菌を発育・曝露して解析を行った。ストレス曝露に対する菌の生残性は発育と曝露温度の両温度条件の影響を受けた。曝露温度の影響が特に大きく、37℃よりも20℃で多くの菌の生残が観察された。過酸化水素に曝露されたリステリアにおける遺伝子発現を解析したところ、37℃ではストレス応答で役割を担う多くの遺伝子誘導が観察された一方、20℃では過酸化水素応答で中心的な役割を担う遺伝子の誘導が観察されなかった。以上の成績から、温度条件により本菌が異なるストレス応答をしていることを明らかにした。
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