昨年度に同定した猫に沈着する変異型SAAは、配列中央部のAlanineがValineに置換されている。アミノ酸配列からの遺伝子配列を予測し、cycleave PCR法で野生型と変異型SAA遺伝子を検出したところ、解析した15例全てにおいて、両遺伝子が検出された。また、野生型と変異型SAAのリコンビナントタンパク質を作成し、各SAA型の線維形成能を測定した結果、酸性条件で両タンパク質のアミロイド線維形成が観察された。リコンビナントタンパク質をマウスに接種し、アミロイド症惹起を試みたが、全身諸臓器の病理学的検索においてアミロイド沈着は認められなかった。 牛9例、山羊6例のAAアミロイド症について解析をおこなった。沈着アミロイドの質量分析の結果、牛、山羊ともにこれまでに猫のAAアミロイド症で検出しているSAAと同様に、中央部のアミノ酸配列が異なる2種類のSAAが沈着していることが明らかになった。山羊で検出した変異型SAAは、これまでに報告のない新規の配列であった。SAAの中央部の変異に着目し、豚、犬の沈着SAAを再測定したところ、これらにおいても配列中央部が異なる2種類のSAAが沈着していることが明らかとなった。これら4種類の哺乳類で認められたSAAの中央部の配列の相違は、ヒトのSAAのisoformにも存在することから、ヒトにおいても2種類のSAA isoformが沈着していることが予想される。
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