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2016 年度 実施状況報告書

乳児用粉乳汚染細菌Cronobacter spp.の新分類と病原機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K07733
研究機関国立医薬品食品衛生研究所

研究代表者

岡田 由美子  国立医薬品食品衛生研究所, 食品衛生管理部, 室長 (50232137)

研究分担者 荻原 博和  日本大学, 生物資源科学部, 教授 (70139054)
鈴木 穂高  国立医薬品食品衛生研究所, 食品衛生管理部, 主任研究官 (70342904)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードCronobacter / 病原性 / 新分類 / マウス
研究実績の概要

Cronobacter sakazakii(Cs)、C. turicensis(Ct)、C.dublinensis subsp. lausannensis(Cd)及びC. malonaticus(Cm)の標準菌株を用いてマウス経口感染による病原性の比較を行った。動物は各群5匹を用い、感染4日前にペニシリン及びストレプトマイシンを経口投与し、その後飲水を通じて継続的に抗生剤を投与することにより、常在性腸内細菌の除去を行った。Cronobacterを経口投与して、感染4日目の盲腸内細菌と腸間膜リンパ節へ移行した菌を計測した。その結果、Csでは5匹全てで盲腸内への接種菌の定着が見られ、内4匹で腸間膜リンパ節への移行が見られた。一方、Cmでは盲腸内への定着は5匹中3匹、腸管膜リンパ節への移行は5匹中4匹で、Ctでは盲腸内への定着は5匹中4匹、腸管膜リンパ節への移行は5匹中3匹で、Cdでは盲腸内定着及び腸間膜リンパ節への移行共に5匹中2匹で見られた。これらの結果から、Cronobacter属菌4種の中で、腸管内定着率はCs>Ct>Cm>Cdの、体内への移行率はCs>Cm>Ct>Cdの順で高いことが示された。盲腸における接種菌の分離菌数は、Cs=Cm>Ct=Cdであり、腸間膜リンパ節においてはCm>Cs>Cd>Ctの順で高く、腸管内定着性と体内移行性が必ずしも一致していないことが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当所の計画では、自家繁殖スナネズミを用いて感染実験を行う予定だったが、飼育群の繁殖力の低下により十分な頭数を確保できなくなり、また、同系統のスナネズミが市販されていないため、使用動物種をマウスに切り替えた。しかしながら、予備検討の結果、マウスにおけるクロノバクター属菌の腸管内定着性がスナネズミより著しく劣っていたため、抗生剤投与により常在性腸内細菌叢を除去してから感染実験を行う系を確立し、感染1~4日目の体内移行性を調べる予備実験等を実施したのち、クロノバクター属4菌種の病原性比較を行ったため。

今後の研究の推進方策

Multilocus sequence typingによる研究室保有の食品由来株再分類を進め、新分類による各菌種について、前年度に確立したマウス病原性比較試験を行うことにより、各菌種がCronobacter sakazakiiと同等の健康被害リスクを持つか否かの評価を行う。

次年度使用額が生じた理由

自家繁殖スナネズミ群の繁殖力が低下したため、当初予定していた動物飼育補助員の給与が不要となったため。また、外部からマウスを購入し実験を実施したが、スナネズミよりもクロノバクター属菌の定着性が低く、実験条件の確定のための予備実験に時間を要し、食品由来株の検討を前年度に実施できなかったため。

次年度使用額の使用計画

常在性腸内細菌を除去し、感染4日目で評価する系を確立したことから、次年度はマウス購入数を増やし、食品由来株の病原性検討を実施すると共に、試薬等の消耗品費、成果発表の学会旅費及び参加費、英文校正料、論文掲載料等として使用する。

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公開日: 2018-01-16  

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