研究課題
昨年度新たに見いだしたブタサポウイルス感受性細胞と、従来から用いられてきたブタ腎臓由来細胞(LLC-PK細胞)は、いずれもウイルス増殖に胆汁由来成分が必須であるため、今年度はこれらの細胞に対する各種胆汁酸由来成分のウイルス増殖への評価を行うとともに、ブタサポウイルスの感受性を決定する因子を検索する目的で、DNAアレイを用いて胆汁酸添加によって発現が変動する遺伝子を評価した。昨年度、ブタサポウイルス感受性細胞ではEF1αpromoterが機能しない事が明らかになったため、これにかわるplasmidベースのリバースジェネティクス系の構築を試みるため、別途作製済みのCMV promoter下流にネコカリシウイルスのフルゲノムcDNAをクローニングしたplasmidをネコ由来細胞(CRFK)にトランスフェクションした。その結果、CMV promoterでもEF1α promoter系と同様の効率でネコカリシウイルスの産生が可能であることを見いだした。今年度はヒト糞便由来のサポウイルスに加え、ヒト糞便由来ノロウイルスについても、ヒトおよび動物由来細胞における増殖の有無を主にRT-PCR法によって検討し、ウイルス増殖(ウイルスRNA量の増加)、再現性を評価継続中である。また作製済みのリバースジェネティクスコンストラクトのトランスフェクションによるウイルス増殖についても糞便由来サンプルと同様に検討を継続中。
2: おおむね順調に進展している
ブタサポウイルスの増殖が可能であることを新たに見いだした細胞と、従来から使用されているLLC-PK細胞において、ウイルス増殖に必須な胆汁酸成分添加による変動遺伝子を解析中。ネコカリシウイルスについては、従来のEF1αpromoterを用いたplasmid ベースreverse genetics系以外にCMV promoterを用いた同様の系の構築に成功した。ヒト由来ノロウイルス、サポウイルスの各種培養細胞、培養条件での評価も継続中。
研究計画に従って、動物由来カリシウイルスの培養増殖条件、特にブタサポウイルスのさらなる増殖効率化を検討する予定。また培養増殖系がないブタ由来ノロウイルスについての増殖系評価も実施する。さらに、臨床検体、および分子生物学的手法を組み合わせたヒト由来ノロウイルス、サポウイルスの増殖につながる培養細胞、培養条件の検索、評価も続ける。
年度末納品等にかかる支払いが平成29年4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。平成28年度分についてはほぼ使用済みである。
上記のとおり。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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