犬の肥満細胞腫は皮膚悪性腫瘍の中で最も一般的な腫瘍である。これに対し我々は、同腫瘍の家族性発症が疑われる症例群(F群)に遭遇し、マイクロアレイ解析と既報をもとに、13種の候補遺伝子を想定した。これらに対しmRNAの定量解析を行ったところ、F群においてPRKCE、 PPP2R1A、CD3E、C6の4種の遺伝子に有意な差異を認めた。とくにPRKCEとC6に注目して解析を進めたが、遺伝子配列には有意な変異は認められず、この差異は周囲の反応に影響されたものと思われた。本検討により、肥満細胞種の発症への関与が示唆される4種の遺伝子が新たに見出された。今後、さらに詳細な解析が期待されるものである。
|