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2016 年度 実施状況報告書

ウシの血中脂肪酸濃度と卵子品質・胚発生の関連性と繁殖性に及ぼす影響について

研究課題

研究課題/領域番号 15K07738
研究機関岩手大学

研究代表者

高橋 正弘  岩手大学, 農学部, 准教授 (50582334)

研究分担者 山本 公平  大阪府立大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (20364028)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードウシ / バイパス不飽和脂肪酸 / 卵子 / 胚 / 脂肪酸分析 / 繁殖性
研究実績の概要

今年度は,ウシ胚の輝度について定量的測定を検討し,血液生化学値ならびに採胚成績との関連性について調査した.ウシ胚の品質は鏡検により形態学的に評価されており,胚の輝度は胚品質の項目に含まれず客観的な評価はされていない.しかし,個体間で胚の輝度に差が認められ,輝度の高い胚は高品質であることが経験的に知られている.
黒毛和種牛46頭ならびにホルスタイン種牛8頭に対して過剰排卵処置を施し採胚を行った.また,採胚日に尾動静脈より採血し血液生化学検査を実施した.採胚成績(回収総数,正常胚数,正常胚率)を記録し,検卵時に胚のデジタル画像を撮影した.Adobe Photoshopを用いて,輝度ヒストグラム簡易測定法によって個々の胚の輝度を測定し,品種間の比較を行った.さらに黒毛和種牛の胚の輝度については,胚の品質,採取季節ならびに発育ステージ間(収縮桑実胚~胚盤胞)における比較を行った.
黒毛和種牛はホルスタイン種牛に比べて胚の輝度が有意に高かった.黒毛和種牛における胚の輝度は季節間で有意差が見られ(夏>秋>冬),胚の品質ならびに発育ステージ間では差は見られなかった.相関分析では回収総数と総蛋白で有意な正の相関が,回収総数とトリグリセリドならびに正常胚率と尿素窒素には有意な負の相関がみられた.胚の輝度と血液生化学値の間には相関性は認められなかった.採胚成績と血液生化学値に弱い相関性があり,血液生化学性状は採胚成績に影響を与えている可能性が認められた.Photoshopを用いた輝度ヒストグラム簡易測定法によって,胚の輝度を定量的に測定することにより,個体,品種ならびに季節間の差を客観的に評価することが可能であった.また,血清の脂肪酸測定は完了しており,今現在,採胚成績の関係ならびに胚の輝度との関係のデータを解析中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現在の研究室内で,脂肪酸を測定できる体制は出来ている。学部学生の卒業研究も兼ねて実施しており,ほぼ,昨年度は順調に採材,測定ならびに解析を行うことができたが,初年度の遅れの影響は残っている。平成28年度実施予定の「周産期経産乳牛におけるバイパス脂肪酸投与が卵子品質・胚発生能力に与える影響」については,周産期牛の確保が困難であったため,経産乳牛を学内で飼養しサンプリングを行った。今現在もサンプリングを継続中である。

今後の研究の推進方策

平成27年度に終了予定であった「胚の品質(輝度)と血中脂肪酸濃度の関係」については,サンプリングがすでに終了し,今現在,胚の輝度の測定と脂肪酸濃度の測定を実施し,データ解析を行っている。「周産期経産乳牛におけるバイパス脂肪酸投与が卵子品質・胚発生能力に与える影響」については,サンプリングならびに測定を継続する。平成29年度実施予定の「繁殖障害牛におけるバイパス脂肪酸投与が卵子品質・胚発生能力に与える影響」については,「周産期経産乳牛におけるバイパス脂肪酸投与が卵子品質・胚発生能力に与える影響」のサンプリングが終了後,実施予定である。

次年度使用額が生じた理由

試験牛は民間農場で確保する予定だったが,学内で繋養することとなったため,飼養管理と採材で謝金が生じたが,その他で確保していた予算を使用しなかったためである。

次年度使用額の使用計画

主に今年度の脂肪酸測定などの消耗品購入に充填し使用する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Production of feline leukemia inhibitory factor with biological activity in Escherichia coli.2016

    • 著者名/発表者名
      R. Kanegi, S. Hatoya, Y. Tsujimoto, S. Takenaka, T. Nishimura, V. Wijewardana, K. Sugiura, M. Takahashi, N. Kawate, H. Tamada, T. Inaba
    • 雑誌名

      Theriogenology

      巻: 86 ページ: 604-611

    • DOI

      10.1016/j.theriogenology.2016.02.013. Epub 2016 Feb 24.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ウシ胚の輝度と血液生化学値ならびに採胚成績との関係.2016

    • 著者名/発表者名
      中鉢友紀乃,千葉祐一,大津信一,坂下憲悦,丸田博,木村健,佐藤早央梨,宮崎珠子,岡田啓司,高橋正弘.
    • 学会等名
      第159回日本獣医学会学術集会
    • 発表場所
      日本大学 生物資源科学部(神奈川県藤沢市)
    • 年月日
      2016-09-06 – 2016-09-08
  • [学会発表] 新生子牛の初乳摂取前後における血清メタボローム解析.2016

    • 著者名/発表者名
      宮崎珠子,宮崎雅雄,山下哲郎,高橋正弘,佐藤繁,岡田啓司.
    • 学会等名
      第159回日本獣医学会学術集会
    • 発表場所
      日本大学 生物資源科学部(神奈川県藤沢市)
    • 年月日
      2016-09-06 – 2016-09-06
  • [学会発表] ウシ卵子の体外成熟培養時におけるMAPKK阻害剤 (U0126) 添加の胚発生に及ぼす影響.2016

    • 著者名/発表者名
      篠原健志,太田祥弘,川手憲俊,高橋正弘,坂上信忠,稲葉俊夫,玉田尋通.
    • 学会等名
      第159回日本獣医学会学術集会
    • 発表場所
      日本大学 生物資源科学部(神奈川県藤沢市)
    • 年月日
      2016-09-06 – 2016-09-06
  • [備考] 高橋 正弘 - 研究者総覧 - 国立大学法人岩手大学

    • URL

      http://univdb.iwate-u.ac.jp/profile.php?ISTActId=SCHKOB0010RIni001&userId=785&lang_kbn=0

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公開日: 2018-01-16  

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