本研究課題では、一部方法の変更を行い、マイクロアレイではなく次世代シークエンサーを用いて解析を行った。 培養にて維持しているBabesia gibsoniの野生株を元に、昨年度までにジミナゼン製剤(DA)に耐性をもつB. gibsoni株を作成したが、最終年度はまずDA耐性株を利用してB. gibsoniのゲノムの解析を行った。すなわち、同株よりゲノムDNAを抽出し、これを鋳型としてB. gibsoniの次世代シークエンサーを用いたゲノム解析を行った。得られたデータを元に専用の解析用コンピューターを用いてコンティグを作成したところ、1300以上のコンティグが得られ、B. gibsoniの全ゲノムを解析するには複数回の次世代シークエンサーによる解析が必要であることが推測された。このコンティグをBLASTサーチにて解析を実施したところ、いくつかの配列において予想される遺伝子が明らかになったが、多くは不明であり、これらは必要に応じて個別に解析を行う必要があることが明らかになった。さらに、解析できた配列の中には、培地中にどうしてもコンタミネーションしてしまう犬の白血球由来のものと思われる遺伝子が検出され、さらに解析を行いB. gibsoniのゲノムのより長いコンティグを作成するにはこれら犬由来の遺伝子を削除する必要があると思われた。以上より、B. gibsoniのゲノムを明らかにするにはさらなる検討が必要であることが明らかになった。一方で、ある程度の長さと量のB. gibsoniのゲノムが得られたことから、このコンティグをリファレンスとして遺伝子発現量を比較する、RNA-seq解析を実施することが可能ではないかと考えられた。
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