本研究は、miR-205BPのイヌ自然発症悪性メラノーマに対する増殖抑制効果を検証することが目的である。具体的には、RNAase耐性化学修飾miRNAであるmiR-205BPの腫瘍内投与を5-10頭、静脈内投与を5-10頭組み入れる予定であった。最終的には局所投与10頭、静脈内投与3頭の組み入れを行った。 局所投与の結果は10頭中4頭で完全奏効 (Complete Response: CR)、1頭で部分奏効 (Partial Response: PR)、 1頭で安定 (Stable Disease: SD)、3頭で進行 (Progressive Disease: PD)、1頭で判定不能 (投与期間不足)であった。副作用については、投与部位、全身とも全く認めなかった。局所投与した10頭中7頭では、トランスフェクション試薬としてリポフェクタミンを用いた。また、3頭ではトランスフェクション試薬を用いずに投与を行った。トランスフェクション試薬を用いることなく1頭でCRとなっていることから、何らかのメカニズムでmiR-205BPが細胞内に直接取り込まれている可能性がある。 全身投与については3頭組み入れを行ったが、全頭でPRとなり、臨床効果を認めることができなかった。原因としては投与量の不足や肝臓等一部の臓器への集積などが考えられる。今後については、miR-205の全身の組織分布や、投与量の増量等を考慮する必要があると考えられる。
|