研究課題/領域番号 |
15K07748
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
大塚 浩通 酪農学園大学, 獣医学群, 准教授 (40327458)
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研究分担者 |
松田 一哉 酪農学園大学, 獣医学群, 准教授 (60405660)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | γδT細胞 / リンフォイドケモカイン / 黒毛和種 / 子牛 |
研究実績の概要 |
平成27年度の研究実施計画としてγδT細胞のリンフォイドケモカインならびにレセプター解析系の確立を目指した。 1.本研究において解析するリンフォイドケモカインならびにレセプターとしてCXCL13、CCL19、CCL21、CXCR5、CCR7を、さらにTfh系サイトカインであるIL-6とIL-21のPCR解析系を構築した。これを元に健康な黒毛和種子牛からγδT細胞を単離して、上記の免疫因子に加えTh1系としてIFN-γ、Th2系としてIL-4、Th17系としてIL-17遺伝子発現についても解析したところ、CXCR5、CCR7、IL-4、IL-6、IL-17、IFN-γ遺伝子の発現が見られた。 2.健康な2から3ヵ月齢の黒毛和種子牛15頭と同月齢のホルスタイン種15頭を対象に末梢血からγδT細胞を単離して10μg/mlのLipopolysaccharide(LPS)またはPeptidoglycan(PG)にて刺激培養し、遺伝子発現量を解析した。その結果、LPSならびにPG刺激によってIL-6ならびにIL-17遺伝子発現量が上昇した。また、これらのサイトカイン遺伝子発現量はホルスタイン種に比べて黒毛和種子牛において低値であった。 このことからγδT細胞はグラム陰性菌とグラム陽性菌、双方の抗原を認識して刺激活性化し、免疫応答を誘導することが示され、この応答性はホルスタイン種に比べて黒毛和種子牛において低いことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年の達成度として、γδT細胞のリンフォイドケモカインならびにレセプター解析系を確立したことは、到達目標の一つを達成できたものと考えられる。またγδT細胞に対するLPSまたはPG刺激によってサイトカイン遺伝子発現量が上昇したことから、γδT細胞は細菌抗原の直接刺激によってサイトカインを産生することが明らかとなった。 また、黒毛和種子牛のγδT細胞はホルスタイン種に比べて抗原刺激によるサイトカイン遺伝子発現が低いことから黒毛和種子牛のγδT細胞はホルスタイン種に比べて抗原刺激による応答性に劣っていることから、幼齢期の免疫形成において不利な条件で成長することが考えられた。 これらの成果から、γδT細胞を中心とした獲得免疫システム形成に劣っている幼齢期の黒毛和種牛は感染症に対する免疫抵抗性に劣っていることが示唆され、計画時の達成目標を満たすものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
28年度は当初の計画に従いでは確立したリンフォイドケモカインファミリーのリガンドとレセプターに関して健康な黒毛和種子牛を対象に観察するとともに、呼吸器粘膜組織におけるγδT細胞の分布様式に関する解析に着手する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表の為の交通費を予定していた経費について、発表した学会が近郊にて開催されたため、経費を捻出することがなかった。また、解析のための採血の対象とした牛の飼育費や飼育の為の謝金については、実験に供した血液を本学附属農場の牛から採取したため支払いの必要がなくなっため。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度にて学会発表のための旅費、供試験牛からの採血のための交通費などに利用する予定である。
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