研究課題/領域番号 |
15K07749
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
樋口 豪紀 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (00305905)
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研究分担者 |
鈴木 一由 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (30339296)
岩野 英知 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (60382488)
中島 恵一 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, 主任研究員 (70362150) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | M. bovis / ウシ / 好中球 / リンパ球 |
研究実績の概要 |
近年のM. bovisに関する最新の研究知見は、本菌種が高度に発達した免疫回避機構を有することである。M. bovisによる白血球の免疫調節は、その主要なメカニズムであると推察されている。免疫細胞に対する機能抑制作用も強く、これらはM. bovisの高病原性および高度感染性の主因として注目されている。本課題において、ウシ白血球に対するM. bovisの免疫制御機構に関する分析を行った。その結果、本課題において行った以下の評価系において、好中球およびリンパ球においてM. bovisによる特異的な応答性が確認された。 ①好中球のルミノール依存性化学発光反応はMOI依存性に有意な上昇が確認された。②PMAによって誘導される好中球のNET形成能はM. bovisの添加によって著しく阻害されることが明らかになった。③リンパ 球幼若化反応はM. bovisの添加による有意な変化は認められなかった。④好中球のアポプトーシスはM. bovisの添加によって有意に上昇した。⑤リンパ球のアポプトーシスはM. bovisの添加によって有意に低下した。以上のことより、好中球はM. bovisに対して一定の免疫応答性を示すものの、重要な殺菌系でありNETsの形成能は阻害され、さらにアポプトーシスも誘導されることが確認された。また、リンパ球では免疫応答能に対する影響は少なく、また、アポプトーシスを阻害する可能性も示唆された。以上の結果より、M. bovisはウシ好中球およびリンパ球の免疫応答性を調整し、これらはM. bovisの生存戦略に関連している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウシ白血球に対するM. bovisの免疫制御機構に関する分析を行った結果、好中球およびリンパ球においてM. bovisに対する特異的な免疫応答性が機能的側面から確認された。本結果よりM. bovisはウシ好中球およびリンパ球の免疫応答性を調整し、これらはM. bovisの生存戦略に関連している可能性が示唆された。研究については、順調に実施されており、上記の通り当初計画に則り進められている。
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今後の研究の推進方策 |
M.bovisに対する白血球の応答性について、その制御機構を解明する。特にサイトカインmRNAの動きからその詳細について検討する。研究については予定通りに実施されており、30年度も本基本計画に則って実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね予定通りの支出を行ったが、研究実施の過程において、使用量にわずかな変更が生じたため、差額が発生した。平成30年度において遺伝子解析で使用する、PCR関連試薬等を購入予定である。
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