研究課題
本研究ではM. bovisが末梢血好中球および単核球の細胞死に及ぼす影響について検討した。研究概要は以下の通りである。①本研究において好中球にM. bovisを添加した際に、MOIの増加に従って細胞生存率の低下が認められた。これらのことから、M. bovisは菌数が増えるに従って好中球に細胞死を誘導することが示された。またM. bovisを好中球に添加することにより、対照群ではMOIの増加に伴ってアポトーシスが誘導された。②M. bovis刺激により誘導される好中球のcaspaseの活性は増加することが示された。さらにM. bovis刺激により、好中球のcaspase-3および9のmRNA発現量の増加が認められた。このことから、好中球においてM. bovisはcaspase-9および-3のmRNA発現量を増加することにより、細胞内のcaspase-9および-3の蛋白発現量を増加させることが示唆された。これらcaspase-9および-3の蛋白が活性化することにより、アポトーシスを誘導することが考えられた。③PBMCでも同様の試験を行ったところアポトーシスの抑制が認められた。PBMCにM. bovisを添加した際のcaspase活性は対照群では低下したのに対し、STS添加群では増加することが示された。PBMCにおいてM. bovisはcaspase-9および-3のmRNA発現量を減少させることで、細胞内のcaspase-9および-3の蛋白発現量を低下させ、アポトーシスを抑制することが考えられた。以上本研究ではM. bovisが好中球およびPBMCの細胞死を調整することを示し、このことがM. bovisによって引き起こされる乳房炎を難治性へと招来することが考えられた。
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Res. Vet. Sci.
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