研究実績の概要 |
H27とH28年度の試験より、潜在性ケトーシス(SCK)牛に対する分娩後初期での早期薬剤投与と分娩前の予防的薬剤投与が乳生産量の増加に有効である可能性が示された。H29年度は以下について検討された。 SCK対策の費用対効果:1)分娩後初期の早期投与効果についてH27年度の試験結果が分析された。SCKに対するプロピレングリコール群(PG、16頭)と消化機能障害治療剤群(GDT、10頭)および健康対照群(10頭)が比較された。4%脂肪補正乳量において、平均で対照群よりもPG群で89kg(8,900円、100円/生乳kg)、GDT群で658kg(65,800円)多かった(便益)。薬剤経費(費用)はPG群で2,000円、GDT群で7,200円であった。費用便益比は、PG群=1:4.5、GDT群=1:9.1と推定され、各対策が有効である可能性が示唆された。2)分娩前の予防的対策としてH28年度の試験結果を分析した。薬剤はプロピレングリコールとし、短期投与群(7頭、平均投与期間3.7日、PG740円)、長期投与群(5頭、10.8日、PG2,160円)および無投与対照群(11頭)を比較した。100日実測乳量は、平均で対照群と比べて短期投与群、長期投与群でそれぞれ41kg(4,100円)と733kg(73,300円)多かった。費用便益比は、短期投与群=1:5.5、長期投与群=1:33.9となり後者の有効性が示唆された。また、投与群では分娩後の初回授精までの日数も早い傾向が見られた。 潜在性2型ケトーシス予防に対するアンケート調査:アンケートの内容については、研究協力者と協議し作成した。大動物臨床研究会および日本家畜臨床学会の会員約900名を対象に実施さえれた。アンケート用紙は会報に同封し、料金後納の郵送にて回収する方式を用いた。2018年4月末日までの締切とした(現在回収中)。
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