研究課題
H27年度は作製したオボアルブミン(OVA)産生遺伝子組換え乳酸菌(OVA産生乳酸菌)をマウス投与して、産生されたOVAがマウスに抗原として認識されているか検討を行った。最初にOVA産生乳酸菌(50億個)をBalb/cマウス胃内投与(9日間6回投与)後、16日目、28日目にOVA(10ug)とアラム・アジュバント(2mg)の腹くう内投与(2回)を行った。また、14日目、35日目に血清を採取してOVA産生乳酸菌群と非投与群においてOVA特異的IgE,IgG1,IgG2a,IgAを測定したが有意な差は認められなかった。また、38日目にOVAを投与によるアナフィラキシー反応の誘導試験を行ったところ、OVA産生乳酸菌群のアナフィラキシー反応の軽減の傾向は認められたが、有意な差は投与群および非投与群の間で認められなかった。同時にマウスから脾臓細胞を採取してOVA特異的なTreg細胞の誘導を調べてところ、有意な差は投与群および非投与群の間で認められなかった。
3: やや遅れている
H27年度においてOVA産生乳酸菌を作製し、予備的実験としてマウスでの投与実験を行った。特異的IgE産生抑制やアナフィラキシー反応の軽減においてOVA産生乳酸菌投与群と非投与群と有意差がなかった。マウスに投与した乳酸菌数は50億個と十分量であることから、この原因としてOVA産生乳酸菌のOVAの発現量が不十分と考えられた。すなわち、乳酸菌にOVA遺伝子などの遺伝子を乳酸菌に挿入してそれぞれタンパクを発現できる技術等は確立できたが、経口投与でも十分にそのタンパクが免疫系に認識できるほどの量を発現できなかったと思われる。
H28年度では本研究で行う実験で経口接種において免疫系に認識されるOVA量を検討するため、OVAタンパクと乳酸菌を投与後、OVAとアラム・アジュバントの腹くう内投与を行って有効なOVA量を決定する。さらに上述の実験において推定されたOVAの発現量を目安にOVA産生遺伝子組換え乳酸菌の作製をやり直す予定である。作製し直したOVA産生遺伝子組換え乳酸菌を使用してOVAのT細胞エピトープを発現するトランスジニックマウス(DO11.10)での実験を行う。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (1件)
Microbiology and Immunology
巻: 60 ページ: 64-67
10.1111/1348-0421.12347
Allergology International
巻: in press ページ: in press
in press
FEMS Microbiology Letters
巻: 64 ページ: 181-186
10.1016/j.alit.2015.01.005
Virologica Sinica
巻: 30 ページ: 221-223
10.1007/s12250-015-3580-9