研究課題
オボアルブミン(OVA)産生遺伝子組換え乳酸菌(OVA産生乳酸菌: 分泌型乳酸菌)をマウス経口投与後、OVAとアラムの腹腔内投与を行った。しかし、OVA産生乳酸菌群と非投与群においてOVA特異的IgEに有意な差は認められなかった。最終年度はOVA産生能の高い乳酸菌の作成を試みた。OVAを菌相表面に表現させる結合型OVA産生乳酸菌を作成したが、十分な産生が得られなかった。また、分泌型乳酸菌も新しく作成したが十分な産生能を有する乳酸菌が作成できなかった。経口投与のOVA量を検討するため、OVAタンパクと乳酸菌を混合して経口投与後、OVAとアラムのマウス腹腔内投与を行って有効なOVA量の検討を行った。OVA特異的IgEの抑制効果は1μgから見られ、10μgから強い抑制が認められた。この結果によって、混合投与するだけでも強い抑制が認められることが分かった。近年、ヒトの食物アレルギーにおいて、安全な量を経口投与することにより、アレルギーを緩和する方法が主流になってきた。本研究によって、少量の原因アレルゲンとこの乳酸菌を同時に経口投与することにより、症状の緩和を行える可能性が示唆された。イヌの食物アレルギーにおいて除去療法が主体で、詳細な免疫学的研究が行われていなかった。食物アレルギーのイヌにおける原因アレルゲンの診断として卵とOVA特異IgE反応性を検討した。約10%が卵白粗抗原IgE陽性さらにその中の75%はOVAに陽性を示した。この研究成果は2016年に論文として発行した。さらに他のアレルゲン特異IgE反応性について検討し、約20%に魚特異IgEおよび約30%に牛乳魚特異IgEが存在することが分かり、現在、投稿準備中である。本研究によって、様々な特異IgE抗体を調べ、アレルゲンと乳酸菌の投与による食物アレルギーに対する治療法が獣医学領域において確立できる可能が示唆された。
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